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Dallarra Stradale ダラーラ ストラダーレ [車、カーデザイン、ミニカー]

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イタリアのレーシングコンストラクター、ダラーラが満を持して発表した同社初の超軽量スポーツカー。
同社はブガッティ ヴェイロンをはじめとるするハイパーカー、スーパーカー、そしてF1、SF、F3等の
レーシングカーの開発に携わってきた世界的なレーシングカーコンストラクター。いわば本物中の本物。

ダラーラ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A9

昨年11月にこの車が発表された時、ついにダラーラからロードカーが出た、これはなるべく早く
取り上げたい…、そう思いつつ結局これも今になってしまいました。

何のメディアか忘れましたが、この車が発表された時のダラーラ氏の述懐で、“いつか自社の名前をつけた
ロードカーを作りたいと心にずっと思っていたが、コンストラクターとして他にやるべき事があり過ぎて
中々実現するチャンスが無かった。しかし数年前のある時、今やらなかったらそんな日は永遠にやって来ない、
そう思って作ることにした。”というようなことを言っていて、ああ、ここまでの人、企業でもそうなのか、
でも、もっと早くても良かったと思うけどな…、と思ったものでした。

事前のスクープ記事でカムフラージュされた車を見て、期待していましたが、ちょっと寸詰まりにも見えて
あんまりカッコ良くなかったら嫌だな…と、若干の不安もありました。ですが発表された写真でみる限り、
スクープ写真から想像したよりもずっと魅力的で安心しました。そして色々と参考になるところも多く、
過去に自分が取り組んだ車について、あれもこうすれば良かったかもしれないな、そうすればもっと喜んで
もらえたかな…などと、後悔やら反省やらもしました。


イタリアのダラーラ「ストラダーレ」が遂に世界初公開。5年間で600台生産、価格は約2,000万円から(2017年11月16日)
http://creative311.com/?p=26499

ダラーラ・ストラダーレ発表 約2000万円~ 初年度分は完売(2017年11月17日)
https://www.autocar.jp/news/2017/11/17/249512/

ダラーラ初の市販スポーツカー、ストラダーレ 発表…855kgの軽量ボディに400hp(2017年11月17日)
https://response.jp/article/2017/11/17/302636.html

第467回:ダラーラのロードカーがいよいよ公道へ 世界600台限定の「ストラダーレ」に試乗する(2018年1月11日)
http://www.webcg.net/articles/-/37970

【独占レポート】ダラーラが放つ”本物のリアルスーパースポーツカー”に初試乗!(2018年5月7日)
https://motor-fan.jp/article/10004078


このダラーラ ストラダーレは、カーボン製ボディを採用するライトウェイトモデルで、フロントの
ウインドスクリーンの無い、いわゆるスピードスターが基本状態で、一般的なドアはありません。
ウインドスクリーン、ルーフ、サイドウインドー(ガルウイングタイプのドアとしての役割を持つ)
などは全てオプションという割り切った構成。
生産計画は、今後5年で600台を予定。価格は、€155,000(2062万円)から。

【SPECIFICATIONS】
車名:ダラーラ・ストラダーレ
ボディサイズ:全長4185×全幅1875×全高1041㎜
ホイールベース:2475㎜ 
乾燥重量:855㎏(ロードスターの場合)
エンジン:直列4気筒DOHCターボ 2300㏄(フォードEcoBoost)
最高出力:294kW(400㎰)/6200rpm
最大トルク:500Nm(51㎏m)/3000~5000rpm
トランスミッション:6速MT/6速ロボダイズド・パドルシフト
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
パフォーマンス 最高速度:280㎞/h 0→100㎞/h:3.25秒 
クーペのダウンフォース:820kg(オプションのリアウイング装着時)

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ロードスター用脱着式ウインドスクリーン(カーボンフレーム)€16,600(220万円)
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タルガ用フレームルーフ€7,700(102万円)
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クーペ用トップヒンジ(いわゆるガルウイングタイプ)シースルーキャノピードア€7,300(97万円)
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この画像を見ると、ボディパネルの構成はきわめてシンプルなことが良くわかります。
一般的なドアを設定しないと割り切れば、この手の車の場合ボディ設計は一気に楽になるし、
製作工数も激減します。販売価格を抑えるひとつの有効なソリューションだとは思いますが…、
やはりよほどのことが無い限りドア(そして屋根も)はあったほうがいいと思います、個人的には。
それにこのカウルというか各パネル類は、どれを見てもヒンジなどで開閉できるものではなく、
全てがボルトアップ等、工具を使って着脱するもののようで、その割り切りの潔さは清々しいほど。
好意的に見れば、あのレーシングカーコンストラクターのダラーラ製なのだからこれはこれで良し、
ということになる、のかもしれませんが…。
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ドアが無いからバスタブ型モノコックはサイドも十分な高さをキープできて剛性確保がしやすい。
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エアインテークダクトもズドーンと通せるので、エアの流れもこの概念図のように(多分)スムーズ。
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基本的に屋根のある車のほうが好きな私ですが、この車に関しては屋根もフロントスクリーンも無い
状態もいいなと思います。全体的に伸びやかに見えていいです。

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フロントから入って脇に抜けていく(それによってフロントにダウンフォースを発生させる)
エアの通路が良くわかるショット。
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この薄型のリヤコンビランプは某量産車用の流用品。なぜわかるかというと、IF-02RDSのロード
バージョン設計時に私もこれを流用することを検討したから。結局使用したのは寸法的な理由で
同じメーカーの別車種のものなのですが、ランプ単体としてはこちらのほうが好みでした。
今もその時に検討した1セットが手元にあります。
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ダラーラ社の社長、ジャン・パオロ・ダラーラ氏。
航空力学の学位を得てフェラーリ、マセラッティ、ランボルギーニ、デ・トマソでキャリアを積んだ後、
自身でレーシングカーコンストラクターを設立。いくつもの有名競合他社が立ち行かなくなって消えて
いく中、堅実に実績を積み上げて生き残り、今や世界中のほとんどのカテゴリーでシャシーを供給し、
その多くで成功を収める。そして満を持して自身の名前を冠したロードカーをリリース…。すばらしい。
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おまけ写真。左から、故パオロ・スタンツァーニ、マルチェロ・ガンディーニ、ジャン・パオロ・ダラーラ。
若き日、ミウラの開発に関わった3人。みんなすっかりおじいちゃん、すばらしくステキなおじいちゃん達。
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ダラーラ製、その実績が価値を生む。これもうまくいってほしい…。






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SSC(Shelby Super Cars) Tuatara [車、カーデザイン、ミニカー]

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SSC(Shelby Super Cars North America Inc.)Tuatara
シェルビー スーパーカーズ ノースアメリカ・トゥアタラ。
(社名からキャロル・シェルビーが起こしたシェルビーアメリカン社と同一視されることがありますが
両者は無関係で、混同を避けるため社名の後ろのほうにNorth Americaとつける事になったそうです)

この車、トゥアタラは2010年9月、同社のアルティメットエアロの後継機として開発が発表され、
その時は "SSC Ultimate Aero TT II" の仮称で呼ばれていたものです。

シェルビー・スーパーカーズ・トゥアタラ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%82%A2%E3%82%BF%E3%83%A9

パワーは驚異の1350馬力! アメリカ製スーパーカー「トゥアタラ」がデビュー!!(2011年08月24日)
https://jp.autoblog.com/2011/08/24/ssc-tuatara-makes-north-american-debut-at-pebble-beach/

【レポート】最高速度400km/h超えのアメリカン・スーパーカーが、いよいよ生産開始へ!(2014年06月18日)
https://jp.autoblog.com/2014/06/18/ssc-tuatara-factory-gets-276-mph-green-light-in-washington-state/

世界最速記録奪還を目指すSSC(覚えていますか?)が、2011年に発表した「トゥアタラ」の進化を予告!(2018年01月10日)
https://jp.autoblog.com/2018/01/09/ssc-tuatara-new-teaser-image/


モックアップを発表してから3年後に生産開始というニュースはあったものの、実際はなかなか
進行していなかったようで、次のステップの発表が無く年月だけが経過して、どうなったのかな…
と思っていたのですが、いよいよ今年あたりには次のステップに踏み出すのかも、しれません。

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このフロントビューが印象的で、とても魅力的に見えます。好みの顔つきです。フロントビューも
フロントクォータービューもいい。単純にそれだけでずっと気にしていました。

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フロントビューに対して、サイドパネルの構成やリヤビューはあまり好みではないのですが…、
それでも全体的にはとても魅力的。他に似たものが無い点も価値があり、すばらしいと思います。

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この小さなフィン、これはいったいどういう効果を狙ったものなのか…。
ウイングはつけたくないけど何かアクセントが欲しい、そんな理由なのかな…?
顔つきもそうですが、この小さなフィンのことを覚えていたこともあって、ひとつ前の記事で
取り上げたVazirani Shul のデザイナーはもしかしたらこの車と同じデザイナーかな…?
と思ったのですが違っていました。すみませんでした。
サイドビューでのウエストラインというかショルダーラインというか、その通し方にも何となく
共通するものを感じて、同じ人が違う形にしようと考えた結果なのかな、と思ったのですが、
あらためて両者を比較してみるとそれほど似た雰囲気でもないか…と思い直しました。
重ねてすみませんでした…。

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本物のカーボンホイール、と思われるホイール。肉厚の中空スポークでしょうか。
革新的な技術のひとつという事かもしれませんが、耐熱性とか耐久性とかが満足できる
レベルになったとしても、どうもこの見た目はあまり魅力的な造形には思えなくて…、
個人的には超々ジュラルミン鍛造とかの繊細なスポークのほうが魅力的に見えます。
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これもまた、ものすごく無造作なリヤビューミラー。
もうちょっと何かしらありがたみのある造形にしてもいいんじゃないかと…。
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現実的にはもうリヤビューミラーは無くてもいいことになったので、この手のミラーは廃止して
リヤビューカメラを置くことになるんでしょうね。そのほうがスッキリしていいです。

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デザイナーはジェイソン・カストリオータ氏。元ピニンファリーナのデザイナーで、
マセラティ・バードケージ 75th(リヤビューが非常に魅力的!)、フェラーリ・599GTBフィオラノ、
マセラティ・グラントゥーリズモ、フェラーリ・P4/5 などのデザインで知られています。

ジェイソン・カストリオタ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%82%BF

彼がデザインした中で私は特にマセラティ・バードケージ 75thとこのSSCトゥアタラが
好きなのですが、マセラティ・バードケージ 75thに関しては、日本人の奥山清之氏が
ピニンファリーナのディレクターを勤めていた時期で、珍しくそのデザイン過程、製作過程が
テレビ局(日本のNHK)の取材を受け、“デザインルームの6か月~イタリア・スーパーカー誕生”
という番組になり、後にDVDも発売されました。リアリティがあって非常に見ごたえのある内容で
おすすめです。私は見ていて自分の経験と重ね合わせて(厳しい納期と様々なジレンマが生々しく
思い出されて)腹が痛くなるようでした。


子供の頃に見た想像上の小型宇宙船みたい。顔つきとキャビン形状が効いている。リヤの小さなフィンも。
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ボディ上面、前後4ヶ所にあるグラフィカルに並んだ小さな穴。これはエアアウトレットか、
何か別の効果、例えばゴルフボールのディンプルのような効果を狙ったものなのか、ただ単に
見た目のアクセントをつける事が主目的でそれに何かしら意味を持たせようとしたのか…?
これがどういう素性にしろ、個人的には悪くないと思います。
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何度も書きますが印象的で魅力的なフロントクォータービュー。この顔つきとボリューム感がいい。
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インテリアはどうも、あんまりパッとしないような…。なので画像の扱いも小さめでまとめて。
まだCGだけみたいなので、もうちょっと別の感じに変わってくれるといいのですが…。
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最近この手の超高性能をうたい文句にした新興メーカーがいくつか出てきていますが、
掲げたスペックが高い(高過ぎる)せいか、市販版リリースには皆さんてこずっているようです。
この車も最初の発表から随分長い時間を経過して、ここに来てようやく次のステップに踏み出す
のかもしれませんが…、その内容はどうあれ、この魅力的な顔つきがあまり変えられずにモノに
なってくれることを祈りたいです。



ひとつのビューだけでも魅力的なら、いいと思う。個人的には…。






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Vazirani Shul(India maker:Good wood) [車、カーデザイン、ミニカー]

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インドのヴァジラーニという会社が発表したハイパーカーのコンセプトモデルです。
何年か前に発表されて注目していたコンセプトモデル、SSC(Shelby Super Cars) Tuataraと
似ているところがあったので、もしかしたら同じ人がデザインしたのかな…と思ったのですが、
違ったようです。

ヴァジラーニ ハイパーカー「シャル」グッドウッドにて公開
https://www.autocar.jp/news/2018/07/16/303320/


下記の記事によると、デザイナーはゲームのグランツーリスモの開発で知られる山内和則氏とのことです。

The Vazirani Shul is India’s Newest Supercar, and Kazunori Yamauchi Helped Design It
https://www.gtplanet.net/the-vazirani-shul-is-indias-newest-supercar-and-kazunori-yamauchi-helped-designed-it/

他にもいくつかのサイトを見てみましたが、どうやらまだモックアップのようで、走れる状態に
なるにはまだしばらくかかるのではないかと思われます。

India-made Vazirani Shul electric hypercar set for debut
https://www.autocarindia.com/car-news/india-made-vazirani-shul-electric-hypercar-set-for-debut-408994

India-bred Vazirani Shul Concept officially revealed at Goodwood
https://www.msn.com/en-in/autos/news/india-bred-vazirani-shul-concept-officially-revealed-at-goodwood/ar-AAA1EJv

India's First Hypercar Vazirani Shul Unveiled At Goodwood Festival Of Speed
https://auto.ndtv.com/news/indias-first-hypercar-vazirani-shul-unveiled-at-goodwood-festival-of-speed-1883305

First Indian hypercar, Vazirani Shul detailed by its owner – Photo Gallery
https://www.rushlane.com/first-electric-hypercar-from-india-vazirani-shul-12273503.html

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この小さなフィンはどういう機能を持っているのでしょう?上にウイングつけて、ウイングステー
ということならちょうど良さそうにも見えますが、そうではないわけですよね…。
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小さなリヤウインドーの後ろにあいた排気口と思しき穴は、“タービン・エレクトリック・パワートレイン”
と同社がいう、(多分)ガスタービンエンジンの排気口を想定しているのでしょうか。
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回転すると内側から空気を吸い出すような形状になっている、カーボン製セミホイールカバー。
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個人的にあまり好きではないところのひとつ、フロントエンド、センターの垂直に近い壁のような
造形。マクラーレンの一連にも似ていて、こういう好みなのかもしれませんが、ここは自然に開放
しておいたほうが、その後ろ側に設けたせっかくの大型エアアウトレットへのエアの流れとしては
スムーズでいいのではないかと思います。もしかしたらそのエアはフロア下面から吸うことを想定
しているのかもしれませんが…。もしそうなら、超高速でフロントがリフトして舞い上がってしまう
ようなことを積極的に防ぐ、レギュレーションに縛られないロードカーならではのいい仕組みかも
しれません。
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この写真を見るとドアのオープニングラインはただの溝で、各パネルは分割されていないようです。
ウインドー類が真っ黒でインテリアが見えないようになっていることからも、それがまだ作られて
いないだろうことが想像されます。
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ラフスケッチ。
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ヴァジラーニ氏。ムンバイで生まれ育ち、カリフォルニアのアートセンターを卒業、ロールスロイス、
ジャガー、ランドローバーでのデザイナー経験があるそうです。(上記URL、一番下のサイトより)
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このアングルで見ると先ほど触れた小さなフィンがどういう機能をイメージしたものなのか、
ちょっとわかるような気がしてきました。その前側の排気口(と思しきところ)から出た排気ガスが
このあたりを通るときにこのフィンによって“あばれる”のを防ぎ、そうすることによってボディ
上面を流れる気流全体を整える整流板…、というイメージなのかな、と。
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“タービン・エレクトリック・パワートレイン”というのは、想像するにガスタービンエンジンを
使ったシリーズハイブリッドEVという事なのかなと思うのですが、燃焼効率自体はレシプロ
エンジンを上回る(だが一般的な自動車用エンジンとしてはレスポンスに難あり)ガスタービン
エンジンを発電用に特化して使うというのは(現実的には決して決して簡単ではありませんが)
理にかなっているとは思います。ですが、通常のエンジンだけ、或いはモーターだけのEVよりも、
ハイブリッドEVをシステムとしてまとめるのは普通に難易度が高く、それを初めて車を作ろうと
しているところがやろうというのは…、かなり大変なのではないかと思います。
どうも、甘く見ているような気が…しないでもありません。

車の形が(モックアップで)出来て、何かもう車作りのステップの中でかなりのところまで来た
ような気になっているんじゃないかと、余計なお世話ながらちょっと心配になってしまいます。
実績の無いところが発表するのであれば、少なくとも走れる状態の車を1台でも作ってからのほうが
いいと思うんですが、割と皆さん平気でこの段階で発表することが多くて…。
場合によっては開発資金を集める目的であえてこの段階で発表、ということもあるとは思うのですが
そのやり方で最後までうまくいくとは…、どうも思えなく…。

デザインは結構好みですし、冒頭に記したSSC Tuataraを除けば既存の車で似たものは無く(全部
個人的な感想です)、十分魅力的だと思いますので、私の心配が単に失礼な想像だった、という事に
なればいいなと思います。




難しいと思うけど、このプロジェクトもうまくいきますように…。






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ARES design Project Pony:フェラーリ 412 オマージュ [車、カーデザイン、ミニカー]

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前回に続いてイタリアの新興デザイン会社アレス・デザインの話題です。

ARES Design
https://aresdesign.com/

Concepts - ARES Design
https://aresdesign.com/pages/concepts

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前回取り上げたデトマソ パンテーラへのオマージュモデルの次に同社が発表したプロジェクト、
フェラーリ412へのオマージュモデルだそうです。ベースはフェラーリGTCルッソ。
今回のプロジェクトはまだレンダリングスケッチだけですが、ちょっと惹かれるものがあります。


ARESデザイン社、デ・トマソ・パンテーラの次はフェラーリ412を復活させる計画
http://www.ferrarilamborghininews.com/blog-entry-13864.html

ARESデザインが見た目はフェラーリ「412」、エンジンは「GTC4ルッソ」をベースのオリジナルモデルを開発
http://creative311.com/?p=30363

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パンテーラの時もそうでしたが、この412についても、なぜこの車種を選んだんだろう?と
思われる方も少なくないかもしれませんが、その理由はなんとなくわかる気がします。
パンテーラと412に共通するのはスッキリとして端正な造形ということです。

アレスデザインの社長バハール氏がかつて惹かれたことがあって、単純にそういうものを
自身の手で作ってみたいと思ったのかもしれませんし、既存メーカーと違う方向を考えた時、
最近の車は機械としてはとても良く出来ているがくどくてえぐい造形のデザインにはうんざり…
というような人達向けにうまくデザインすればビジネスとして成立する程度の需要が見込めると
判断したのかもしれません。あるいはその両方かもしれません。

フェラーリGTCルッソのあの何ともユニークな…良く言えばチャレンジングな形だとは思いますが、
せっかくのあのクラスのフェラーリの2+2、もっとオーソドックスなデザインでまとめたものを
作ってみたい。それはかつての412に似たものになるかもしれないが、それはそれで悪くないのでは
ないか…、そんな風にも考えたのではないでしょうか。



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パンテーラオマージュのものと同様なあっさりしたスケッチ。
まぁこれだけ明確なモチーフがあれば、スケッチワークはあまり必要ないかもしれません。

インテリア。
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オリジナルのフェラーリ412。というか最初の365GT4 2+2から、400GT、400i、そして412と
モデルチェンジしていくのですが、パッと見はほとんど区別がつかないほど、その差異は小さく、
私も正直よくわかっていません。ということで、いくつか混ざっているかもしれませんがここは
ひとまとめにして412の一連という事で、色々なサイトから拾った画像を載せておきます。

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同じ時期のミッドシップ2シーター、BBと共通するイメージの魅力的なインテリア。
エクステリアとあってないような気もしますが、個人的にこのメーターまわりは大好きなので
これはこれで良し。
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非常に高額な車両になるのは容易に想像できますので、こういう車にどれだけの需要があるのか、
多少心配にもなりますが(余計なお世話…)、どんな形であれ、この形がまた見れるのなら、
それだけもいいなと思います。




こういうプロジェクト、何とかうまくいくといいな…。






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ARES design Project Panther:デトマソ パンテーラ オマージュ [車、カーデザイン、ミニカー]

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昨年12月に発表されたこのプロジェクト。ここで取り上げたい物のひとつとしてブックマークしていました。
ランボルギーニ ウラカンをベースにボディパネルをパンテーラ風に変えたもの、ということのようです。

Ares Design
Dove nascono la nuova Pantera e la 911 GT3 Targa
https://www.quattroruote.it/news/industria-finanza/2018/01/31/ares_design_dove_nascono_la_nuova_pantera_e_la_911_gt3_targa_.html

Ares Design
Rifaranno la Pantera sulla base della Huracan
https://www.quattroruote.it/news/nuovi-modelli/2017/12/13/ares_design_rifaranno_la_pantera_sulla_base_della_huracan.html

アレス・デザインが、デ・トマソ「パンテーラ」風のボディをランボルギーニ「ウラカン」に着せた
「プロジェクト・パンサー」を発表
https://jp.autoblog.com/2017/12/16/ares-project-panther-lamborghini-huracan-detomaso-pantera/

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このアレス・デザインという会社はイタリアのモデナに本社を置く新興デザイン会社で、これまでに
ベントレーやロールス、メルセデスなどの外装/内装を変えたオリジナルカーの製作、販売の実績が
あります。

ARES Design
https://aresdesign.com/

Concepts - ARES Design
https://aresdesign.com/pages/concepts

アレス・デザインの社長はダニー・バハール氏。彼は少し前までロータスの社長だった方で、
その前はフェラーリとかレッドブルグループでマーケティング担当の重役をやっていて、その
実績を買われてのロータス社長就任だったようです。ロータスとしては安定した売り上げ確保と
会社存続のため、新型の開発と、出来れば同時にラインナップの拡充もしたかったのでしょう。
そこでバハール氏は適任、かもしれない…と賭けたのだと思います。2009年10月に社長に就任
したバハール氏は早速色々な改革を行い、翌2010年、かつて在籍したフェラーリからお気に入り
のデザイナーを引き抜き、デザインのトップにすえて、自身の好みを反映した複数のモデルの
開発を同時に行わせます。そしてパリショーにおいて、今後発売予定!というふれこみで何と
5台ものコンセプトカーを発表、ロータスファンだけでなく世界中から注目を集めました。
5台はそれぞれ新しいロータスとしての魅力もありましたし統一感もありました。ただその統一感
というのは、言い方を変えればどれも似たようなイメージという事でもあり、同じ時期に一人の
デザイナーが中心となってまとめると、良くも悪くもまぁこういうことになりがちですよね…
と感じられるようなものでした。そういう事は自分でもしばしばありますので、あたたかめな
目で見ていたというのもありますが、デザイン自体それまでのロータス各車よりも好みで注目
していました。

そしてそういうことより何より気になったのは、一気にここまでの拡大路線、しかも価格帯を
より高価格帯(フェラーリなどに近い)へ移行するという、野心的で大胆なプランです。
そんなことして大丈夫なのかロータスは…? 期待もしますがそれよりむしろ不安になるような
ものでした。これはいつか見たような…、私にはかつてのマツダの多チャンネル化とその悲しい
結末が思い起こされました。
で、ロータスの親会社もそう思ったのかどうか、バハール氏の改革のそのあまりの急進ぶり、
危険なほどの開発費の大盤振る舞いプランに待ったをかけるべく、バハール氏を突然解任します。
それに対して納得がいかないバハール氏は親会社を相手取り訴訟。親会社からも特別背任だか
何だかの理由で逆訴訟…と泥試合になりましたが後に和解…。そういうあれこれはともかく、
とりあえずロータスが大変な事になるのは免れたようで、ちょっと安心したのと、あの5台の
コンセプトカーがどれも日の目を見ないことになってしまったのは残念に思いました。
良さそうなものだけでも開発を続ければいいのに…。

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自社の社屋内と思われる発表会の様子。オリジナルパンテーラも後ろに置いてあります。
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そういうロータスでの出来事があったことを知る者としては、今回のこのプロジェクトは比較的
安心して見ていられます。車を丸ごと1台開発するのと、ボディパネル(とそれに関連するもの)
だけの開発とでは、開発費が平気で一桁違ってきます。それに、今の会社ではもう雇われ社長では
なく自身で設立した会社です。出資者は他にいるかもしれませんが、ロータス時代のような残念な
こと(突然の解任、訴訟に逆訴訟…)はもう無いでしょう、多分。

車の構成としても、中身がランボルギーニ・ウラカンなら、デザインもエンジンもイタリア製
(ランボルギーニの今の親会社はアウディ、だからエンジンの開発はドイツということに…
というのはおいといて)ということで、かつてデトマソ・パンテーラが、エンジンがアメリカン
V8ということで不当に下に見られていたようなことにはならない、はず。オリジナルのシャシー
ではないというところはいかんともしがたいですが、オリジナルシャシーでこれを上回る出来の
ものを作るのは現実的にかなり難しいでしょうから、落しどころとしてはいいところではないかと。

それにしても、バハール氏がロータスの社長に就任したのが2009年10月。解任されたのが2012年。
その後すぐに立ち上げたアレスデザインがこんな立派な規模のものだという事が驚きです。
本当にビジネスセンスがあって、お金を集める能力に恵まれた方なのでしょう。やたら男前だし。
天が二物どころかいくつも与えちゃったんだろうなこういう人には。

立派な社屋。この写真にうつっているのはそのごく一部。
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製作中の様子。ライトグレーのサフェーサー、部分的に薄く吹いた黒いスプレーなど、面出しの最中で
あることがうかがわれます。
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それで、肝心なデザインについてですが、あくまで個人的にはですが…、
ちょっと魅力的だけど、オリジナルパンテーラの持つ魅力を超えていない、という印象です。
オリジナルパンテーラのいいところは、数あるスーパーカーの中でも屈指の上品さ、清潔感さえ
感じられるスッキリした造形、そういうところにあると思うのですが、今回のアレスデザインの
これは、ベースのウラカンの影響もあるのか、ちょっとスッキリ感に欠けて見えるのが残念です。
これだけ見れば十分魅力的だし、私がスッキリ感に欠けると思うディティールも、見ようによって
現代的なアレンジといえるのかもしれませんし、今のランボルギーニとか好きな人には歓迎される
のかもしれません。

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私がアレスデザインのほうの残念に思うところは特にショルダーラインの通し方。Cピラー下への
つながり方です。ここをどうしてこんな風にグニャッとしてしまったのか…。オリジナルのほうの
あのシャキッとした処理、良かったのにな…、そんな風に思うわけです。もしかしてドアを丸ごと
ウラカンからキャリーオーバーする必要があってそうしたのかな、と思って両者の写真を比較して
みたところ、似てはいますがちょっと違っていました。アレス版のドアはオリジナルデザインで、
少なくとも技術的な制約でこうなったわけではないようです。
前後のフェンダーフレアも同様にあまりいい印象ではないところです。ボディが白だとわかり難い
ですが、ブルーメタリックのほうはその形が良くわかり、何だか無造作につけただけのようで、
うーむ、ここはちょっとあんまり…と思ってしまいます。これならむしろ全体的にふっくらと
させたほうが良かったんじゃないかな…、フェラーリ288GTOみたいに。

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全体的なイメージとしてはオリジナルのパンテーラと、上記ロータスの5台のコンセプトカーの
中にあったもののかけ合わせのような感じがします。良くも悪くも。 ということは、これが
バハール氏の好みという事なのでしょう。
立派な規模の会社を自身で立ち上げて、好みのデザインのオリジナルカーを発表したということです。
中身は他社製とはいえ、ウラカンは現在のランボルギーニでシャシー性能最高と言われている程の
いい出来らしいですから悪くないでしょう。ただ、想像される価格(恐らくウラカンの倍以上)を
考えると、ちょっとデザインがおとなしすぎると思われないかな、という心配はあります。
派手にするために下品な造作を増やすような方向ではなく、出来ればプロポーション自体で
魅了するようなのになってくれたらいいのにな…。

いくつか好みではないところや心配な点もありますが、それでも、いろいろな意味でこういう車が
うまくいくことを心から祈ります。


せっかくなので、オリジナルパンテーラの写真も。やっぱりスッキリしてていいです。
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特に黒いフロントバンパーが追加されたこれ(北米向けでしょうか)は、元のフロントエンドから
ちゃんと連続した造形になっていて、それがパンテーラの魅力を増していていいなと思います。
この手の追加大型バンパーは他はたいていひどいことになっていますから、これは異例です。

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こんな短期間でどうやってこんな立派な社屋を建てられるんだろう…。






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