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ロングホイールベース [車、カーデザイン、ミニカー]

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随分間が開いてしまいましたが2019年、正月のあいさつに次ぐようやくの更新です。
今回は現在開発中の車のホイールベースについて。 これがかなり長いんです。


最近のレーシングカーはロングホイールベース化が進んで、今やF1では3,600mmを越えていて、
メルセデスなどはもう3,700mm寸前。あらためてすごいことになってるなと思います。
下記のサイトで紹介されていた各マシンのホイールベース(とレーキ角)一覧表です。

F1-Gate.com
2019年F1マシン | 全マシンのホイールベースとレーキ角  2019年3月28日
https://f1-gate.com/f1car/f1_48231.html

02_2019年F1マシン ホイールベースとレーキ角.jpg

各マシンの画像は下記のサイトから。俯瞰気味の近いアングルで撮影されていて比較しやすいです。

世良耕太のときどきF1その他いろいろな日々
【2019 F1第1戦】参戦10チームの車両を同アングルで撮影  2019年3月15日
https://serakota.blog.so-net.ne.jp/2019-03-15-1

上から Mercedes Ferrari RedBull
03_F-1_2019_Mercedes+Ferrari+Redbull.jpg

Renault HAAS Mclaren
04_F-1_2019_Renault+HAAS+Mclaren.jpg

RacingPoint AlfaRomeo ToroRosso
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Williams
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(成績はふるいませんがウィリアムズの車のカラーリングがきれいで一番好きです。)


ちなみに、歴代マクラーレンのF1マシンのいくつかをピックアップしてみると下記のようになります。
()内は印象的だったエピソード。

 1988年 MP4/4 2,875mm
     (強力なホンダV6ターボ全盛期、圧倒的な強さで全16戦中15勝でダブルタイトル獲得)
 1998年 MP4/13 3,060mm
     (開幕戦オーストラリアGPでブリヂストンのサイズアップしたフロントタイヤとブレーキ・
      ステアリング・システムが組み合わせで全車を周回遅れ(!)にして、ワンツーフィニッシュ)
 2016年 MP4/31 3,517mm
     (第5戦スペインGPでアロンソがマクラーレン・ホンダ復活後初のQ3進出… さみしい…)


ロードカーのほうのマクラーレンF1が90年代はじめに発表された時、そのホイールベースが2,718mmで
結構長いなと思いましたが、同時にやはりこれくらいにはなるよな…、いやむしろこの特殊なパッケージ
レイアウトだからこの数値におさまったんだろうな、さすがだなとも思いました。
個人的に、V12などの大きなエンジンでまっとうにレイアウトしていくと、スタイリング上の観点からも
このクラスの車としてはこれくらいが妥当だろうと思っていて、当時自主製作していた架空の車では
2,700mm~2,750mmくらいのホイールベースを設定することが多かったのですが、それらの車を仕事上
つながりのある方に(聞かれて)言うと、“長過ぎじゃない?”とか良くいわれましたし、車雑誌などでも
しきりにスポーツカーのホイールベースは短いほうが良い、短ければ短いほど偉い!くらいの勢いで
いわれていて、自分としてはずっと違和感を感じていました。
スタイリング以外で私が考えるスポーツカーの大切なポイントとして、スタビリティ、インフォメーション、
リニアリティの3つがあるのですが(パワーなどはその次ということです)、ショートホイールベースでは
最初のスタビリティの確保が難しいので、もうその時点で少なくとも自分としてはちょっとなぁ…です。
このあたりのことを解説しようとすると結構長くなるので今回はやりませんが、そういう心もちでしたので、
このマクラーレンF1のスペックを見てちょっと安心したことを覚えています。

なのですが…、
現在開発中の車のミーティングに私が最初に参加したときに聞かされた、想定されているスペックの中で、
このホイールベース:3,100mmには正直驚きました。見間違えたかと思ったくらいです。
ホイールベース3メートル超。 ロールスとかメルセデスの長いのとか、そういうものならわかりますが、
スポーツカーでここまで長いのは前代未聞です。
ちなみに、有名どころのフラッグシップカーのホイールベースは下記のとおり。

 Ferrari ラ・フェラーリ:2,650mm
 Lamborghini アヴェンタドール:2,700mm
 Mclaren P1:2,670mm、スピードテール:2,720mm
 Pagani ウアイラ:2,795mm
 Bugatti ヴェイロン:2,710mm、シロン:2,650mm

皆さんこんなものなので、この3,100mmという超ロングホイールベースを想定するにいたった理由を
純粋に聞きたいと思いました。それで、ひとしきり驚いたあと、“高速スタビリティの確保が目的のひとつ
かと思いますが…”と言いかけたら、“それもあるのですが、それだけではなくてですね…”と強めの口調で
解説していただけました。
簡単に言うと、最近のトップカテゴリーのレーシングカーのトレンドに沿って、新しくて洗練された本物の
スポーツカーを作るため、ということです。そこに既成概念やノスタルジックな思いなどは含まれないと。

自分としては短いよりも長いのが好きですし、伸びやかなプロポーションはそれだけで魅力的だと思います。
短いことによる無理なレイアウトをしないですむのでまとめやすいし…、色々と好都合といえるのですが、
数字だけ聞いたときはうまくまとまるかな…とちょっと心配になりました。長過ぎて間が持たないような
ことになりはしないかと…。
ですが、パーッケージレイアウトとスタイリング作業を進めていくと、心配したようなことは無さそう、
十分納得できる形になりそうだな…ということが案外早い段階で感じられ、ひと安心です。
それがわかったからには、この長さを単にレイアウト上の優位に使うだけでなく、スタイリング上の魅力に
変えられるような形を考案しなければいけない、と思いなおしました。


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非常にやりがいのあるすばらしい機会なのですが、いい訳のし難い、ある意味厳しい状況とも言えます。





やりがいと自分の能力の無さと、両方を感じる…。





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