かつてあったイタリアの代表的なカロッツェリア、ベルトーネ(Bertone)のコンセプトカーに
ランチア・ストラトス・HFゼロという車があります。1970年秋のトリノ・ショーで発表されました。

まぁ、まずはその刺さるようなフロントのとがりっぷり、ウェッジシェイプという言葉そのものを
具現化したような姿かたちをじっくりとご覧ください。
車高はわずか840mm(!)しかありません。低いにもほどがありますw

ちなみにですが、アスパーク・アウルの車高は990mmで、これは世界一車高の低い市販車にすること、
そして世界一の発進加速の記録も作り、2つの世界記録を持つ車として発表しよう!という目標値を
オーダーされてのことでした。やや苦労しましたが2つとも達成することが出来て正直ホッとしました。







1970年当時のカーデザイン最大のトレンドはウェッジシェイプ。各社各ブランドから色々なのが
発表されましたが、中でもこの車とアルファロメオ・カラボ(Alfaromeo Carabo 1968年発表)は
その代表的なもの、まさに双璧と言っていいと思います。そしてその両者のデザイナーは同じ人、
マルチェロ・ガンディーニ。ランボルギーニカウンタック、その前のミウラなどを手掛けたことで
有名です。















この車、初めて写真を見た時、こんなすごい形してて素晴らしくかっこ良くて惹かれるんだけど、
ドアはどうなってるんだろう?一体どうやって乗り降りするんだろう?と思いました。

乗った人が窓から顔を出すとこんな感じです。すごく窮屈そうです、やっぱりw


で、ドアはどうなってるんだ?の答えがこれです。

こうやってフロントウインドシールドを上に開けて…、
フロントフードの黒いところを踏んで(!)室内に入ります。えぇー!そんなのが許されるの?!w


メーターパネルは普通の位置に置くことを断念してAピラーの下、ドア側にA4サイズくらいのマルチ
インフォメーションパネルとしてドーンとレイアウトされています。 すごいなぁ、この割り切り...。



エンジンは直列4気筒みたいに見える夾角V型4気筒。ランチア・フルヴィアHFの1.6L、115psです。
少しでも前後長を詰めたいという目的で設計されたエンジンでしょうか、きっちり縦置きミッドシップ
になっています。ただ、ぱっと見はあまり迫力なくて、正直言ってちょっとしょぼく見えてしまいます。
動画で排気音を聞いたことがあるのですが、やっぱりあんまり良い音とは思えませんでした...。


それでもとにかくカッコイイ。他にかえがたい魅力があります。
これが完成した時、ベルトーネ社の社長、ヌッチオ・ベルトーネ氏はとても喜んで
「すごくいいのが出来た。これをショーに出したらみんな驚くぞぉ、大評判になるの間違い無しだぁ。」
と思ったのですが(後年のインタビューより意訳)…、
実際のトリノショーでの反響は芳しくなく、随分ガッカリしたと言っています。








ショーでの反響がヌッチオ・ベルトーネ社長が期待したほどのものではなかった理由はといえば、
まぁこの誰が見ても実際に販売される車として成り立つようには到底思えないところが大きいでしょう。
ある種冷ややかな反応となったのはしょうがないかな、とも思います。



ここで、パッケージレイアウト、そのサイドビューを見てみましょう。

ドライバーの頭がルーフギリギリなのは外から見ても容易に想像できましたが、案の定ですw
ペダル類はフロントアクスルよりもはるか前、一時期のF1などのようなことになっています。
エンジンのすぐ前には燃料タンク、そしてシートとの間に広大な空間…、そこにスペアタイヤ様。
何でこんなレイアウトに...。


パッケージレイアウト2案。
よりショートホイールベース(上)を検討したのかなと思われます。


この透視画を見ると、やはりスペアタイヤ無くしてシートとペダル類をもっと後ろに置ければ、
随分まともなレイアウトになったんじゃないかという気がしますが…、スペアタイヤ必須ということも
あってか、そうはしなかったといううことですね。


これは当時のベルトーネ社が手がけた車(コンセプトカー、市販車)10台のパッケージレイアウト。
カウンタックのエンジンのデカさが頭抜けているのがよくわかります。まさにエンジン様を運ぶ車、
ただそのためだけにある車。そんなふうに言われるのもよくわかります。



ここからは市販されたストラトス。
まずは私の一番好きなグループ4ボディ。リヤフェンダーのなめらかで大きな張り出しがいいです。
この赤白のカラーリングも一番好き。そしてこの星型ホイールもいくつかあるストラトス用ホイールで
一番好み。白というところまで好み。それから、この前後カウルの開き方、これがとにかく魅力的。
向こうに並んでるのはMAT社が手がけるニューストラトス(フェラーリベース)。これもとても魅力的。






ここで、この市販型ストラトスのパッケージレイアウトを見てみると、上のほうのストラトス・ゼロに
比べて随分まともなことがわかります。ドアはごくまっとうなのがついてるしw スペアタイヤもフロント
カウルの下にうまいこと積んでます。こんな薄くてシャープなフロントであるにもかかわらず。



ゼロと市販版、2つのストラトスが珍しく並んだ写真。やっぱりゼロの車高が低い!
フロントウインドシールドの外形が普通と逆に下の幅が狭いw


一番好きな赤白のマルボロカラー。但しこれはリヤフェンダーがグループ4のような張り出しが無い、
いわゆるノーマルボディ。


このライトブルーもストラトスらしくてとても好み。


もしも何台も持てるのならノーマルボディのライトブルーとグループ4ボディのマルボロカラーがいいな…、
ずっとそう思っています。こんなの眺めて暮らすだけでもいいな…。




戦争とか、政治家達の腐敗とか、巨大なダニのような悪徳NPOとか、嫌なニュースが多過ぎるところに
能登を襲った大地震…、気が滅入るようなことが続けざまでつらくなります。 こういう時にはこんな
振り切ったとんでもないコンセプトカーとか見て、いくらかでもスカッとしたいなと思って書きました。















元日に能登半島を襲った大地震と津波の大災害、謹んでお見舞い申し上げます。
なるべく多くの被災者が救われ、一日も早く復興が出来ますように。


<画像33>
ウクライナがロシアを追い出して勝利して、全ての領土をとり戻し、
ロシアにきっちり賠償させて、平和を取り戻せるまで応援したいです。

We support Ukraine with all our might!
We are all on your side.
Ми підтримуємо Україну всіма силами!
Ми всі на вашому боці.


パレスチナのハマスとイスラエルの争いでは明確にイスラエルを支持します。
ハマスは非常に悪質なテロ組織です。









ノーマルボディのライトブルーとグループ4ボディのマルボロカラー、眺めて暮らしたい...。