Fiat Abarth 2000 Scorpione Coupé Pininfarina 1969
フィアット・アバルト 2000 スコルピオーネ。ピニンファリーナが1969年に製作、発表したコンセプトカー。

この車をデザインしたフィリッポ・サピーノ氏に関しては、過去のブログでも少し触れているのですが、
(好きなデザイナー、カロッツェリアについてのアンケート 2012/10/28 
http://ash-institute.cats.st/cgi/diary/sfs6_diary/sfs6_diary.cgi?action=day&year=2012&month=10&day=28 )
ピニンファリーナに在籍し、フィオラバンティ氏やパオロマルティン氏らと同じ時期に活躍した方で、
代表作はおそらくこの車、というか他にはあまり知られていない…、彼の名前で公開されている彼の
作品は極めて少ないようで、それはピニンファリーナ社としての方針もあったのでしょうが、非常に
優秀でありながら表に出たがらない本人の意向もあるようで、そんなところにも惹かれます。

それにしても、この車のシャープで大胆な造形、他の人にはマネ出来なそうにない斬新なカッコ良さ、
その表現力は他に代えがたく魅力的です。

毎年イタリアの高級リゾート地、ヴィラデステのコモ湖畔で行われる Concorso d'Eleganza Villa d'Este。
今年それに日本人コレクター、小坂氏(ギャラリーアバルト美術館の館長としても有名な方)が
この車でエントリーされ、イタリア、日本だけでなく世界中のメディアからも注目されていました。

ヴィラ・デステ・コンクール・デレガンス - 海外ニュース | オートカー・デジタル - AUTOCAR DIGITAL http://www.autocar.jp/news/2014/05/31/78243/



こちらは動画。
1969 Fiat Abarth 2000 Scorpio Concept Car Amazing Sound
https://www.youtube.com/watch?v=4jbKou01GhU

One-Off Fiat Abarth 2000 Scorpione - Very Loud Sound & Flames!!
https://www.youtube.com/watch?v=1nwaqTF1-aQ

Fiat Abarth 2000 Scorpione Coupé Pininfarina 1969 Shiro Kosaka JP
https://www.youtube.com/watch?v=jwyOYD9FRHY

小坂氏は以前、フェラーリ P5や、アルファロメオ・カングーロでやったように、大掛かりで質の高い
レストアをこの車にも施して、その完成のお披露目の場としてこのイベントにのぞんだのだと思います。

動画でこういう貴重な車が実際に走るところが見れたり、排気音が聞けたりするだけでも嬉しいのですが、
カウルの開閉なども見ることが出来て、写真だけ見て長年想像していたことが、ああやっぱりそうだった
のか…と思えたりして、とても楽しめました。

どう考えても剛性とかありそうに見えないルーフ+ウインドーグラスが、開閉時にやっぱりプルプル
してたり、ほとんど消音効果の無さそうなマフラーからの排気音がちょっとがっかりというか、
想像通りというか…、それは残念ながらこの車の形からイメージするものとしてあんまりふさわしい
ようなものではないと思うんですが、それがそうであっても、やっぱり動くところが見られるのは
嬉しいものです。

この飛び抜けてカッコいいボディを現代のスポーツハイブリッドなどのメカニズム、システムで
再構成して、このデザインがふさわしいと思える、ある種の“正当化”みたいなことをしてあげられない
ものか…などと思ったりもしてしまいます。




フェラーリ P5、アルファロメオ・カングーロ、そしてこのフィアット・アバルト 2000 スコルピオーネ、
この宝石のような車達をまたそろって日本のギャラリーアバルト美術館で見ることが出来る日は…?
(ウェブサイトはずっと開館日未定のまま…。)


しかし、
フィオラヴァンティ氏だけでもすごいのに、パオロマルティン氏がいて、このフィリッポ・サピーノ氏も
いて…、当時のピニンファリーナ社のデザイナー達のレベルの高さは、まさしく尋常ではないレベル
だったのだなとあらためて思わされます。








60年代末から70年代なかばまでがカーデザインの黄金期だ思う、これも根拠の1台…。