1971年トリノショーで発表されたマセラティのコンセプトカー、ブーメランが売りに出ています。
ロータス・エスプリなどと並び、この頃のジウジアーロデザインの典型的なウェッジシェイプデザインの
ひとつ、好きな方も多いと思います。

One Of A Kind Maserati Boomerang Concept-Car Offered For Sale http://www.carscoops.com/2015/06/one-of-kind-maserati-boomerang-concept.html



文字通りのウェッジシェイプ(くさび形)。
ウェッジ度合いではアルファロメオ・カラボ(1968年パリサロンで発表)あたりと双璧ではないでしょうか。




極力曲面を使わず、クリーンな面だけで構成する、その縛りでどこまで出来るか、そういうチャレンジ
だったのかもしれません。(実際はもちろん曲面も使っています)




フロントホイールの真上、ショルダー面がカクッと折れているところは、ちょっと厳しいなと思うのですが、
この車のコンセプト的にはここを滑らかにつなぐことを潔しとせず、これはもうしょうがない、これで
いい、いや、これでこそ良し! そう判断されたということでしょうか。




前述のアルファロメオ・カラボよりも更に曲面を排除した造形は、その方向で行きつくところまで行き
ついた感があり、とても印象的ではありますが、個人的には何もそこまでやらなくても…という感じが
して、コンセプトカーといえども、造形自体にちょっと無理があるかなぁと思えます。





以前、アルファロメオ・カラボを取り上げたブログ 2014年7月16日
Alfaromeo Carabo
http://ash-institute.blog.so-net.ne.jp/2014-07-16

カラボに遅れること3年、少なからず意識もしたと思いますが、それを上回る魅力を備えているほどには
なっていないような気がして…。別の見方をすると、それだけカラボの先進性、未来感が突出している
ことをあらためて思い知らされます。







特徴的なステアリングの中にレイアウトされたメーターとスイッチ類。



さすがにインテリアを見ると随分くたびれた感じはします。
もしも手に入れたら、きれいに修復(レザーの張替え、塗装パーツの再塗装など)するか、このまま
オリジナルを保つか、考えてしまいそう。 ま、考えるだけですけど。





こういうチャレンジがあって、その後80年代までクリーンな面構成の試行錯誤、熟成が進み、完成度の
高いモデルがいくつも開発されていったのかなと思います。
個人的には1979年ジュネーブショーで発表されたAsso di Fiori、後のいすゞ・ピアッツァ、1984年の
ロータス・エトナ などが特に印象的で、これらは今でもいいなと思います。








最近この手の歴史的なコンセプトカーが売りに出ることが多くなった気がする…。