1号車のときは面データこそ作ったが実際のものづくりはそのデータを見ながらNY Connect の内藤さんが
手作業によってFRPで製作してくれた。あの時点ではそれが合理的だった。
今回の2号車は保安基準を満たすためにEマークの付いたライトユニットを使い、ロービームには光軸調整
機構も組み込むことになり、細かい造作が盛り沢山で、どう考えてもFRPで作るのは無理がある。
それで、色々考えていくつかの製法での見積もりもとってみて、粉末造形で作ることにした。
いわゆる3Dプリントの一種である。

この画像は以前も公開したことがある設計途中でのスクリーンショット。


上のCGと似たようなアングルで撮った粉末造形品。ライトユニット2個を仮固定。


同じくCGと粉末造形品。この時点では光軸調整機構がまだ出来ていなかったため、ロービーム用の
ライトユニットは本来の位置ではない。(片側にロービーム用が1個、ハイビーム用が2個並ぶ)
この後の工程で表面を簡単に仕上げ、表裏ともに黒く塗装し、前面にアクリル製のアウターレンズを
接着することになる。
外周部が段付きになっているのはその接着剤が内部にはみ出ないようにするための造作。


設計途中のスクリーンショット。ハウジングを背面から見たところ。画像はどちらも左側用。
車両中央側(右側)の四角いボリューム、その中にある出っ張りなどは、内部に仕込むロービーム用
ユニットの光軸調整機構のマウント用の造作。この出っ張りの中にボールジョイントがあって、
その球体の中心が光軸調整の回転中心となる。その右と下にあるつまみが角度調整ダイヤルで、
右が水平方向、下が垂直方向となる。


粉末造形品。記録用に色々なアングルで撮影。





前後方向の中間で分割し、そこにフランジを作って多数のボルト/ナットによって組み立てるように
したのは2つ理由があって、ひとつはライトユニットや光軸調整機構の取り付けを容易にするため。
というか、こうでもしないとまともに取り付けられないと思う。最終的にはフランジの間に薄い
ゴムシートなどをパッキンとして挟むつもり。
もうひとつは、どうがんばって作っても完全な機密性を保つのはかなり難しいと思われるので、
アウターレンズの内側が曇ったり、埃がつくことが考えられる。そうなった時に容易に分割できるように
しておけばメンテナンス、クリーニングしやすいから。

このヘッドライトハウジングの製法に関しては、光軸調整機構も含めて懸案事項の一つであったのだが、
粉末造形によって何とか成立させることができた。データを渡せばそのとおりの形状で現物が出来上がって
くることのありがたさを痛感する。
粉末造形で一般的に使われる材質はナイロン系の樹脂で、丈夫で割れにくく(光造形で作ったもののように
落とすと割れるようなもろさあると扱いにくい)、ある程度の耐熱性もあるのがいい。
業者にもよるだろうが、データを渡してから完成までの納期も、以前と比べてかなり短くなって非常に
助かる。この部品の粉末造形をお願いしたのは下記のところ。

㈱アーク http://www.arrk.co.jp/ 
アークオンラインサービス http://www.arrkrp.com/

実績があって安心できるし、見積額、納期ともに非常に競争力がある。
(簡単に言うと、安くて早いということ)


写真は全て、この作業をお願いしている NY Connect の内藤さん撮影。





粉末造形いいです、とてもいいです…。