インドのヴァジラーニという会社が発表したハイパーカーのコンセプトモデルです。
何年か前に発表されて注目していたコンセプトモデル、SSC(Shelby Super Cars) Tuataraと
似ているところがあったので、もしかしたら同じ人がデザインしたのかな…と思ったのですが、
違ったようです。

ヴァジラーニ ハイパーカー「シャル」グッドウッドにて公開
https://www.autocar.jp/news/2018/07/16/303320/


下記の記事によると、デザイナーはゲームのグランツーリスモの開発で知られる山内和則氏とのことです。

The Vazirani Shul is India’s Newest Supercar, and Kazunori Yamauchi Helped Design It
https://www.gtplanet.net/the-vazirani-shul-is-indias-newest-supercar-and-kazunori-yamauchi-helped-designed-it/

他にもいくつかのサイトを見てみましたが、どうやらまだモックアップのようで、走れる状態に
なるにはまだしばらくかかるのではないかと思われます。

India-made Vazirani Shul electric hypercar set for debut
https://www.autocarindia.com/car-news/india-made-vazirani-shul-electric-hypercar-set-for-debut-408994

India-bred Vazirani Shul Concept officially revealed at Goodwood
https://www.msn.com/en-in/autos/news/india-bred-vazirani-shul-concept-officially-revealed-at-goodwood/ar-AAA1EJv

India's First Hypercar Vazirani Shul Unveiled At Goodwood Festival Of Speed
https://auto.ndtv.com/news/indias-first-hypercar-vazirani-shul-unveiled-at-goodwood-festival-of-speed-1883305

First Indian hypercar, Vazirani Shul detailed by its owner – Photo Gallery
https://www.rushlane.com/first-electric-hypercar-from-india-vazirani-shul-12273503.html





この小さなフィンはどういう機能を持っているのでしょう?上にウイングつけて、ウイングステー
ということならちょうど良さそうにも見えますが、そうではないわけですよね…。




小さなリヤウインドーの後ろにあいた排気口と思しき穴は、“タービン・エレクトリック・パワートレイン”
と同社がいう、(多分)ガスタービンエンジンの排気口を想定しているのでしょうか。




回転すると内側から空気を吸い出すような形状になっている、カーボン製セミホイールカバー。






個人的にあまり好きではないところのひとつ、フロントエンド、センターの垂直に近い壁のような
造形。マクラーレンの一連にも似ていて、こういう好みなのかもしれませんが、ここは自然に開放
しておいたほうが、その後ろ側に設けたせっかくの大型エアアウトレットへのエアの流れとしては
スムーズでいいのではないかと思います。もしかしたらそのエアはフロア下面から吸うことを想定
しているのかもしれませんが…。もしそうなら、超高速でフロントがリフトして舞い上がってしまう
ようなことを積極的に防ぐ、レギュレーションに縛られないロードカーならではのいい仕組みかも
しれません。








この写真を見るとドアのオープニングラインはただの溝で、各パネルは分割されていないようです。
ウインドー類が真っ黒でインテリアが見えないようになっていることからも、それがまだ作られて
いないだろうことが想像されます。






ラフスケッチ。


ヴァジラーニ氏。ムンバイで生まれ育ち、カリフォルニアのアートセンターを卒業、ロールスロイス、
ジャガー、ランドローバーでのデザイナー経験があるそうです。(上記URL、一番下のサイトより)


このアングルで見ると先ほど触れた小さなフィンがどういう機能をイメージしたものなのか、
ちょっとわかるような気がしてきました。その前側の排気口(と思しきところ)から出た排気ガスが
このあたりを通るときにこのフィンによって“あばれる”のを防ぎ、そうすることによってボディ
上面を流れる気流全体を整える整流板…、というイメージなのかな、と。



“タービン・エレクトリック・パワートレイン”というのは、想像するにガスタービンエンジンを
使ったシリーズハイブリッドEVという事なのかなと思うのですが、燃焼効率自体はレシプロ
エンジンを上回る(だが一般的な自動車用エンジンとしてはレスポンスに難あり)ガスタービン
エンジンを発電用に特化して使うというのは(現実的には決して決して簡単ではありませんが)
理にかなっているとは思います。ですが、通常のエンジンだけ、或いはモーターだけのEVよりも、
ハイブリッドEVをシステムとしてまとめるのは普通に難易度が高く、それを初めて車を作ろうと
しているところがやろうというのは…、かなり大変なのではないかと思います。
どうも、甘く見ているような気が…しないでもありません。

車の形が(モックアップで)出来て、何かもう車作りのステップの中でかなりのところまで来た
ような気になっているんじゃないかと、余計なお世話ながらちょっと心配になってしまいます。
実績の無いところが発表するのであれば、少なくとも走れる状態の車を1台でも作ってからのほうが
いいと思うんですが、割と皆さん平気でこの段階で発表することが多くて…。
場合によっては開発資金を集める目的であえてこの段階で発表、ということもあるとは思うのですが
そのやり方で最後までうまくいくとは…、どうも思えなく…。

デザインは結構好みですし、冒頭に記したSSC Tuataraを除けば既存の車で似たものは無く(全部
個人的な感想です)、十分魅力的だと思いますので、私の心配が単に失礼な想像だった、という事に
なればいいなと思います。






難しいと思うけど、このプロジェクトもうまくいきますように…。