引き続き、アルファロメオ カラーボ。ベルトーネ/ガンディーニの(沢山ある)傑作うちの1台。

これ以上無いっていうくらいのウェッジシェイプが印象的なこの車、誰もが感じるであろうことは
ランボルギーニ カウンタックとの共通性ですが、2つ前に紹介したランチア ストラトス ゼロとも
全体的なシルエット、プロポーションはもちろん、各部のディティールで濃い共通性を感じます。

発表されたのは下記の順番で、カラーボが最も早く、ウェッジシェイプの一連の最初のモデル
ということになりそうです。

 1968年 カラーボ
 1970年 ストラトス ゼロ
 1971年 カウンタック

最初といえど手加減なしというか、情け容赦なくウェッジ(くさび)なところが気持ちがいいです。

ドアのすぐ後ろのエアインテークのあたりの造作は、ストラトスゼロのサイドパネルのデザインの
元になったアイディアかと思われます。

そしてこのドア、これはまさしくカウンタックで有名になった変形ガルウイング。
これの正式名称をベルトーネがどう言っているのかわかりませんが、カラーボのこのドアの
アイディアがカウンタックに活かされたことは間違いありません。

グリーンメタリックのボディ、フロントエンドの蛍光オレンジ、このカラーリングもそうですし、
ヘッドライトやフロントフードのエアアウトレット、リヤウインドーなどに繰り返し使われるルーバーも
いい意味で時代を感じるところです。

ヘッドライトの考え方は、よくあるリトラクタブルではなくて、ルーバー状のカバーが動くもので、
その後のモントリオールなどとも関連がうかがえます。

このモデルもヌッチオ・ベルトーネの超お気に入りだった事は間違いありません。
彼がこの車とともに写っている写真がいくつか見ましたが、とても得意げです。

このような煌めくような車をいくつも作り、世界に向けてベルトーネ社のイメージを決定づけた
ガンディーニの功績は非常に大きかったことでしょう。

ヌッチオにとって、前任のジウジアーロもそうだったでしょうが、ガンディーニは非常に頼もしく、
それは採用した時の期待を大きく上回り、彼の決断が正しかったということを、これ以上無いほど
証明してくれたわけですから、それはもうかわいくてしょうがなかったんじゃないかと思います。

ただ、ガンディーニの神経質で寡黙、ある意味シャイで頑固な性格のガンディーニに対して、
ものすごく気をつかって接しなければならなかったと、ガンディーニが同社を去ってしばらくしてから
述懐しています。いわく、“彼にはビロードの手袋をして接しなければならなかった…。”
イタリアではこんな言い方をするのか、ヌッチオ氏独特の言い回しなのかはわかりません。

また、こうも言っています。
“ジウジアーロもそうだったし、ほとんどのデザイナーがそうであるように、ガンディーニもまた
初期の頃のデザインが優れていました。”
晩年のガンディーニの作品やジウジアーロの作品を見ると、残念ながら確かにそうだなと思います。





ガンディーニが去った後のベルトーネは、その後もいくつかのコンセプトモデルを発表していくのですが、
ついに往時の煌めきを取り戻すこと無く、残念な結末を迎えることとなります。





ベルトーネとガンディーニ、何とも幸せなめぐり合わせ…。