昨年(2021年)11月21日、フェラーリが発表した新型車、Ferrari DAYTONA SP3。
デイトナSP3はICONAシリーズ(これの前に発表されたのが Monza SP1 と SP2)の第3弾です。
世界限定599台が販売される予定で、すでに売約済みだそうです。いつもながらすごいですね。

Ferrari Daytona SP3 - Ferrari.com
https://www.ferrari.com/ja-JP/auto/ferrari-daytona-sp3

Response  2021年11月22日
フェラーリ史上最強の840馬力、『デイトナSP3』発表…最高速は340km/h以上  2021年11月22日
https://response.jp/article/2021/11/22/351562.html

GENROQ Web  2021/11/22
フェラーリ、Iconaシリーズ最新作「デイトナ SP3」のスタイリングを解き明かす
フェラーリの最新限定モデル「デイトナ SP3」デビュー! スタイリング編
https://motor-fan.jp/genroq/article/14576/

webモーターマガジン  2021-11-21
フェラーリがデイトナSP3を発表。6.5L V12エンジンと330P4の曲線美、そして現代デザインの融合
https://web.motormagazine.co.jp/_ct/17497618


スペックとしては、モノコックやボディパネルは全てカーボンコンポジット製なのは今や当たり前、
肝心なパワーユニットは812コンペティツィオーネに搭載された6.5L V12自然吸気エンジン(!)
をチューンナップして最高出力:840ps/9250rpm、最大トルク:697Nm/7250rpm。もちろん
ミッドシップで7速ギアボックスを介しての後輪駆動。ラ フェラーリのようなハイブリッドではないと。
最高速度は340km/h以上、0→100km/h加速は2.85秒、0→200km/h加速は7.4秒という動力性能。
詳しくは上記各リンク先サイトをご覧ください。



自社の過去の人気モデルをモチーフにして現代的なスタイリングにまとめるという、他社がちょっと
うらやむようなやり方です。フェラーリくらいになると、ずーっとこれでやっていけそうなくらいに
年代ごとに人気モデルがあるわけですし、過去のあるモデルをメインモチーフにして他にもいくつか
の別のモデルの要素も加えて、なんてことも普通に出来てしまいますし、何よりレトロではないという
ところがいいです。



フロントウインドシールドの形状などから往年の名車、330P3、330P4 などとの共通性が強く感じられ、
キャビンの幅も同じフェラーリのカタログモデルよりもかなりタイトそうです。







下のプランビューを見た時に、あれ…?と思いました。キャビン後ろ側の"絞り"がどうも、こんなこと
しなくてもいいのに、と思ってしまったのですが、リヤクォータービューをよく見ると、どうやら
ドアの下側はダクト状に穴になっていて、フロントの下面から入った空気をここからも排出するように
なっているようです。
それでも、そのためにこの造形か…と思うと、ちょっと他にやりようが無かったかな…とは思います。



リヤビューミラーはフェンダーにマウントされ、左右でわずかに位置が違うようです。(左が少し後方)
この位置のほうがドアミラーよりも視認性が良くて合理的です。レーシングカー風のイメージの演出と
いう意味合いもあるのかもしれませんが。



プランビューはちょっと、あれれ?とは思いましたが、過去の同社の名車のモチーフを使いながら、
2019年5月発表の SF90 Stradale や、昨年2021年6月発表の295GTB と通じるようなものを感じて、
この DAYTONA SP3 もかなりいいなと思いました。
フロントクォータービュー、サイドビュー、リヤクォータービュー、どれも良いです。

SF90 Stradale




295GTB





リヤの特徴的なルーバーを使った処理はかつてのコンセプトカー、330P5と非常によく似た処理で…、
330P5 は私が最も敬愛するデザイナー、レオナルド・フィオラヴァンティ氏の傑作で、あらゆる車の
中で一番好きかもしれないくらいに大好きなのですが、このルーバー風の処理を DAYTONA SP3 では
フロントのコーナー部にも使っていて、それはちょっとなぁ…と思いました。ボディカラーが赤や黒
などの濃色ならそれほど気になりませんが、これが白系となると…一気にうるさい感じがして個人的
には好きになれないところです。

330P5




330P5 と 後に転用というか強い要望により強引に作られたAlfaromeo Tipo33 Marcury


330P5 オリジナルは上記の Alfaromeo Tipo33 Marcury に転用されて無くなるも、後年発見された
330P4のシャシーに日本人K氏の要望でピニンファリーナで再製作され、日本で展示された時の写真。





DAYTONA SP3






リヤの特徴的なルーバーを使った処理が、DAYTONA SP3と330 P5 とで、とても良く似ていることが
お分かりいただけると思います。
リヤはいいにしても、これをフロントに使ったのはちょっと…、私としては残念に思う点です。



そして更に言うと、白が好きな私としては珍しいことなのですが、この車に関しては白が良くない…。
そう感じました。フロントエンドがプランビューで見て案外たいらというか直線的なことになっていて
SF90 Stradale や、295GTB とは結構イメージが違いますし、ボディパネルの分割線も変に目立ちます。
白だとそういうネガティブな面がよりわかりやすく見えてしまって、これはちょっと…という感じです。







ヘッドライト周りも、すぐ下側にカナード状の黒いパーツが付き、その下にルーバー状のフィンなど、
やりたいことが色々あってまとめるのにちょっと苦労したような、まとめ切れていないような…、
そんな感じに見えます。写真からはフロントのラジエーターグリルのように見えるところはダミーで
ほとんど空気を入れるつもりはないように見えます(多分サイドラジエーター)ので、なおさら、
それならもっとやりようがあったんではないかな…と思えてきます。ボディカラーが赤ならそれほど
気にならなかったのですが、白系だとなんともスッキリ見えなくて残念です。


シートは固定で、ドライビングポジションはペダルの前後位置とステアリングで合わせるようです。
ちょっとスパルタンですね。







個人的な好みでないところもありますが、DAYTONA SP3、総じてかなり良いと思います。
自然吸気V12のミッドシップというところが他に代えがたい大きな魅力です。
フェラーリのV12自然吸気エンジンのミッドシップ、これこそ本当に最後かもしれません。

あくまで個人的な好みとしては、スタイリングは SF90 Stradale のほうが良かったかなと思います。
SF90 Stradale もドアの下側のキャラクターラインが後半で跳ね上がるところなど好きではないですが
全体的にはかなり良いです。フロントエンドがもう少し、50mmでも低ければもっと良いのですが、
それでも、かなりまとまりが良くてシャープでモダンで、涼しそうなハンサム顔でいいです。

SF90 stradale

















現行フェラーリに魅力的なモデルがあるというのはいい…。