きっと彼ならやるだろうという大方の予想通り、やってくれました。
自転車で1時間にどれだけ走れるか、走行距離がそのまま時速となるわけです。
その過酷さは、ちょっと自転車に乗ったものなら誰でも想像できると思います。単独で50km/h以上、1時間…。

新たなベンチマーク誕生 ウィギンズが54.526kmのアワーレコード樹立 http://www.cyclowired.jp/news/node/169026

サイスポTopics|ピナレロ × ジャガーが共同開発したウィギンスのアワーレコードマシン BOLIDE HR http://www.cyclesports.jp/articles/detail.php?id=736





ウィギンズ(イギリス人)はいまのところまだチーム・スカイ(イギリス)に所属しているので、
使用した自転車もチームがロードレースに使うのと同じメーカー、イタリアのピナレロ。








ピナレロのこの種の自転車といえば、かつてミゲル・インドゥライン(スペイン)が乗った
Pinarello ESPADA(エスパーダ)を思い出します。


ブレーキや変速機がついていますから、ロードレース(TT)用でしょうか。

このミニチュアは私も持っています。ディスクホイールなのでミニチュア向き。

これは進化版なのか、フロントフォークの空気抵抗を極限まで減らすアイディア。

と思ったら、これは進化版ではなくて一番はじめの試作モデルだそうです。
いわゆるコンセプトモデル的な攻めたデザインなわけですね。
コメントをくださったmomoさん、ありがとうございます。


アワーレコードという記録はちょっと変なことになっていて…、
単純に数字だけで言えば今回のウィギンズよりも速かった人達がいます。
最速は1996年、クリス・ボードマン(イギリス)が LOTUS T-110 に乗って出した56.375km。
(下の写真は同じLOTUS T-108、オリンピックで使用されたもの : これもmomoさんからいただいたコメントより)


上記のPinarello ESPADAとか LOTUS T-108 など、それまでの自転車とかけ離れた姿に進化しつつあったものを、
自転車競技を仕切る国際団体、UCI(サッカーで言えばFIFAみたいな組織)が “従来からのものと
あまりに違っていて、同一条件の記録とは認められない” などという(へ)理屈を強引につけて
ボードマンとその他の選手達の素晴らしい記録を抹消してしまいました。
(ただし、“UCIベスト・ヒューマン・エフォート”という変な名前にして記録は残した)
そして、エディ・メルクスが1972年に記録を更新(49.431km)した時の自転車の仕様に準ずるもの
以外は公認しない、ということにしてしまいました。 何だそれ?状態です。
これは当事、ESPADAやLOTUS T-108 のような先進的な自転車を作れない(当事の主要)メーカーが
危機を感じてUCIに働きかけたのが大きな理由ではないかといわれていますが、このときに、今も続く
フレームの前三角、後ろ三角がちゃんと無いとダメ、みたいな進化を停滞させるようなレギュレーションが
作られてしまいました。
明文化もされていないのに、記録を出した後に、“ちょっと都合悪いからやっぱあの記録無しね”
とかやられたら選手も関係者もファンもたまったもんじゃないです。
このUCIという組織は他にもいろいろ理不尽なことをやっていて…、
ランス・アームストロングのドーピング違反隠しとか、他もまぁひどいもんです。
私の中では “あらゆるスポーツ団体の中で最も腐った団体” ということになっています。

そんなことが過去にあったため、力のある選手達もこのアワーレコードに本気で挑戦する意欲をなくして
しまっていたといわれてたのですが、最近少しだけUCIが心を入れ替えたのか、レギュレーションを時代に
合わせてきたようで、これに挑戦する選手達が出てきて、ちょっと嬉しい状況になってきました。
こうなると、以前から挑戦を口にしていたファビアン・カンチェラーラや、そして現TT世界チャンピオンの
トニ・マルティンらが挑戦したらどんなものか、とても興味があり楽しみです。







UCIの掟破りのレギュレーション変更が無かったらどんな進化をしていたのか…。