ブガッティEB110が売りに出ているようです。
ブガッティといってもフォルクスワーゲンがブランドを買ってから開発した今のヴェイロンとかでは
なくて、ある意味正統派イタリアンスーパーカーの流れを汲むものかもしれません。
90年代に華々しく復活するも、すぐに会社が倒産、結果として非常に希少な車となった悲運の車の
ひとつです。


Mighty Bugatti EB110 GT Is Offered For Sale
http://www.carscoops.com/2015/10/mighty-bugatti-eb110-gt-is-offered-for.html

ブガッティ・EB110 Wikipedia


上の画像はEB110SSという、後に追加された高性能バージョンで、以下の写真が今回売りに出されている
ものです。







この車は個人的にはそれ程惹かれるものではないのですが(特にヘッドライトまわりが嫌。
リヤコンビもあんまり…)、開発途中で(恐らく意図的に)リークされていた写真などから、
正式発表されるまではかなり期待していました。


透視画像。凝ったメカニカルレイアウト、それをギューッとコンパクトにまとめようとしているのが
わかります。





ドアはカウンタックと同じ形式です。




こんなカラーリングもあったんでしょうか。それともあとから塗り替えたものでしょうか?
いずれにしてもわりといい雰囲気に見えます。





下の写真が高性能バージョン、EB110SS。SSはSuper Sportの意味だったと思います。
外観上はリヤクォーターウインドーとそこにあった電動開閉式のエアインテークが廃止され、
代わりに丸い穴(固定式エアインテーク)がいくつもあけられ、リヤウイングも電動で上下する
タイプから、固定式のやや大型のものに変わるなどしています。



上のシルバーのものと下のブルーのものとでは、リヤクォーターのエアインテーク、フロントフェンダー
のエアアウトレットなど、また少し変わっていますね。シルバーのはSSのプロトタイプということ
でしょうか。






白や黒もいいですね。



黒いボディに赤い内装。個人的には赤い内装は全然好きじゃないのですが、これはちょっといいかも
と思いました。



これがガンディーニが手がけていたプロトタイプ。


この手のものを好意的に見たがる自分が見ても、正直それ程ありがたみを感じるとは言いがたいもの
でしたが、カウンタックでやり残したことというか、あれを作ってみて改善したかったこと、それは
ガンディーニにすれば主に空力性能であり、スタンツァーニにすれば低重心化とトラクション性能だった
らしいのですが、それらをまとめるためのアイディアを盛り込んで、更にターボを4基もつけてものすごい
パワーアップもして、いわばその時考えられる全てのことをやったというような内容に、一体どんな
すごいものになるんだろう?とワクワクして正式発表を待ったものでした。 

ですが、上記ウィキペディアの解説にもあるように、開発途中で当事のオーナーであるアルティオーリ氏の
意向とガンディーニの意見が合わず、ガンディーニは解任され、後に(ほぼ開発を終えて)スタンツァーニも
同社を離れます。
後にアルティオーリ氏は、二人との“エピソード”はほんの短い間の些細なものだった、みたいなことを
言ってて、二人の貢献を無かったことにしたいという気持ちがあふれ出ていて、うわぁ…と思ったものです。


下の写真がウィキペディアでも触れられている、ガンディーニがブガッティのために考えたアイディアを
転用、修正してまとめたマセラティ・シュバスコ(Maserati Chubasco)。






おぉ!これはいいなぁ、ブガッティのときよりずっと魅力的!もう顔つきからして好みだし、リヤの
意味ありげな凝った造作もいい(効果は半分くらい疑問だけど…、いやもうちょっとはいいか…)、
ブランドは変わったけど、これはこれですっごく楽しみだぁ…
と私は喜んだのですが、これもマセラティ社の傾きとともにこのプロトタイプ(恐らくただのモック
アップ)1台を残してプロジェクトは消えて無くなってしまいました。 ガックシ…

ほぼ同時期にガンディーニはFRのスーパースポーツ(Iso Grifo 90:コルベットベース)も手がけていて、
このシュバスコと同じような考え方でデザインされたそれは、自分としては非常に好みで魅力的に見え、
楽しみにしていたのですが… それも流れてしまいました。(さいわいこちらは21世紀になってから、
ごくささやかな規模ではありますが実車化しています。)








いきなり大きく立派なことをやり過ぎだったんだと思うんです、このプロジェクトは…。