映画、ミニミニ大作戦(原題:The Italian Job)で印象的な使われ方をしていたランボルギーニ・ミウラ。
そのオレンジの固体が売りに出ているようです。

Famous Lamborghini Miura From Original "The Italian Job" Is For Sale http://www.carscoops.com/2015/11/famous-lamborghini-miura-from-original.html


映画に出ていたとかはあまり興味がありませんが、このスタイリングはやはり魅力的です。





きわめて意欲的、しかし後から考えれば色々と無理のあるエンジニアリング。それをとにもかくにも実車化してみて
ショーに出した。そこから熟成していこうと思っていたんだと思います、当事のこの車の開発者達は。
しかし反響は想像以上で、いつ売り出すんだ?すぐ売ってほしい、そんな声があまりに多く、すぐにでも見込める
売り上げ(きっとそれは同社としては願ってもないことであったことでしょう)、その魅惑的な見込みに、熟成不足で
あることは重々承知の上で、なかば確信犯ともいえるような状況で、大急ぎで販売を始めてしまった。そんな成り行き
だから、製造しながら、販売しながら、常に設計と製法は細かく“改善のために予告なく変更”され続ける事となった…。




後のインタビューで開発に携わったボブ・ウォレスが「ミウラは私達のプライドを傷つけるものだった…」と語って
いるのですが、これは上記の事情を言っているのだと思います。本当はもっと熟成して、納得のいくものにしてから
売りたかった、そういうことだと思います。そうだとしたら本当につらかったことだろうと思います。



ただ、その熟成のための十分な期間をランボルギーニ社と裕福でわがままな顧客達が許容していたら、もしかしたら
この美しいボディをまとった車は世に出なかったかもしれない、そんなことになっていたかもしれません。
それはどういうことかというと、同社が次のフラグシップ・カーとして発表したカウンタックの成り立ちが、
スタイリング的にもエンジニアリング的にもミウラとはほとんどつながりが無い(ミッドシップ、後輪駆動という
ことだけは共通しますが)ようなものに見えて、そこにはミウラで試してみてうまくいかなかった“反省”が強く現れて
いるともとれるからです。
詳細はここではあえて書きませんが、ミウラを発表してから4年も5年も開発を続けていたら、細かな修正はたまりに
たまって規模も大きくなり、結果としてエンジニアリングに大変革が行われ、パッケージングとスタイリングはそれに
合わせて大変更に…、結果として一代すっ飛ばしてカウンタックになっていたかも… などと思うわけです。
(まさか、そんな、ありえない…そう思われる方も多いと思います。あくまで個人的見解、ひとつの、ややとっぴな
意見ととらえていただいてかまいません)
だから、ミウラがあまり素性のよろしくない熟成不足のエンジニアリングの車となってしまったのは大変残念なことでは
ありますが、このベルトーネの傑作がこの形で世の中に出てきてくれた事は、それだけはつくづく良かったと思います。
ミウラがあってカウンタックがあって、それでこそのランボルギーニだと思います。






そこまで思わせるスタイリング、その力はやっぱりすごいな…。