デザインでも設計でも製作現場でも、腕のいい出来る人は仕事が速いというお話です。
クォリティの高い仕事するんだけど彼は遅くて…という人はあまり聞いたことがありません。
そういう人もいていいと思うし、いそうな気もするんですが、少なくとも自分のまわりでは
ほとんどいませんし話にも聞きません。

そういう出来る人達の作業をそばで見ているとわかりますが、ひとつひとつの作業が正確で速いです。
大体段取りもよく考えてやっているので無駄も少ないです。


写真は2013年の東京モーターショーで発表された Ikeya Formula IF-02RDS prototype の
クレイモデルを作るためのコア(中子)とクレイモデル。
ボディの3Dデータから2次元の断面データを沢山作り、それに従って合板をレーザーカットしたものを
組んでクレイモデル用のコアを作り、そこにクレイ(工業デザイン用粘土)を盛り付けて、ハンドツール
を使って手作業で形状を仕上げていったものです。



このクレイモデル(そしてその後のFRP成形、仕上げまで)を手掛けたのはNY Connect の内藤さんと
いう方で、私が思う「出来る人は仕事が早い」の筆頭の一人です。クレイモデル以外にもFRPの成形など
守備範囲が広く、私は重要な局面でしばしば内藤さんの力を借りています。守備範囲が広いと、こっちが
やりたいことだけ言うとやり方を考えてくれてほぼ望んだとおりのものを現実のものにしてくれるという、
非常に望ましいことを普通にやってくれるのでとても助かります。





今はクレイモデルも3DデータからNC切削機を使って作って仕上げだけ手で行ったり、それどころか
クレイモデルを作らずにもっと硬い素材のマスターモデルや、成形型を直接作ってしまうことが多く
なったのですが、単品製作で少しでもコストをかけずにという場合や、どうしても実物大の大きさの
立体で確認しながら修正を繰り返したいというような場合にはクレイモデルは今も有効です。







このプロトタイプは後のロードバージョンよりもフロントフェンダーの幅は狭く、キャビンも純粋な
レーシングカーと同等な極めてタイトなもので、コンセプチュアルでレーシングカーの雰囲気をたたえた
ものだったのですが、さすがにこのフロントウインドーの形状のままでは保安基準を満たすことが出来ず、
2号車であるロードバージョンではフロントウインドーを含むキャビン全体が修正されました。








出来る人達と一緒にやる仕事って楽しい…。