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世の中にはもっと良いデザイナーがいる [Web、CG、スケッチ、デジタルモデリング、仕事]

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X(旧Twiiter)で見かけた投稿で共感するものがありました。

「世の中にはもっと上手いデザイナーがたくさん居るのに私がやる意味ってあるんだろうか、
と考えてしまう瞬間が100万回ぐらいあったけど、この回答で昔年のクヨクヨが見事に
成仏できてしまった。Twitterやっててよかった…。」

この最初の疑問は自分を含めほとんどのデザイナーが感じることだと思う。
デザイナーに限らず何かを作る作業に携わる人なら多かれ少なかれ似たようなことは思うだろう。


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その回答というのは、鈴木 聡さんというベーシストの方で、このように書いています。

 “世の中は常に自分の上位互換のような人がいるように感じます。これを考えると
 自分という存在は必要なのかと悩みます。みなさんはどのようにこれを解決していますか?
 僕より上手いベーシストは掃いて捨てるほどいますが、どんな上手なプレイヤーも、演奏
 しなければ価値が出ません。
 今夜このバンドでお客さんを楽しませられるのは、僕しかいません。上手いあの人も、
 同時にあちこちで演奏できるわけではないのです。
 「今この場にいる」それが自分の最大の価値だと考えることにしています。それは他の誰にも
 物理的に出来ないことだからです。”

これはそのとおりだと思います。
なるほど、こう考えれば確かにくよくよしないで済むかもしれないな、とも思います。


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ですが、
これは演奏者とか、歌手とか、俳優とか、スポーツ選手とか、その時その場にいなければ不可能
な場合であって、“その時その場”にいなくても成り立つ場合は、残念ながらちょっと…何というか
まかないきれない、とも思います。
どういうことかというと、私が生業(なりわい)とするデザインなどではその時その場にいなくても、
遠隔地のデザインオフィスとかで作業して、しかるべき時までに期待されるアウトプットが何らかの
形でなされればそれでいいわけです。デザインの他にもそういうものは沢山あると思います。
だから、上記の鈴木さんというベーシストの方の言葉でデザイナーは全面的に救われるわけではない…
ように私は思います。


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ではどうやってこの苦しい問題に折り合いをつけていけばいいのか、それについての自分の考えは…、
これはウェブ上で親しくさせていただいている真栄中美樹さん(デザイナー兼ライター、その他)
から以前インタビューしていただいた時の回答からの抜粋なのですが、このように考えています。


ASPARK OWL のデザイナー 大津秀夫氏 独占インタビュー Vol.7       2019.05.13 23:14
                                   インタビュアー:真栄中美樹

Q5:オンリーワンになるためにデザインでこだわったところはありますか?

“自分が本当に気に入ったものを作れれば、結果としてそれはオンリーワンになるのではないかと
思っています。 自分の好みを自分以上に反映できる人は他にいないからで、誰かと全く同じ好み
という事は実際問題としてほぼ無いと思いますので。
ただ、自分以上に良いものを作る人は世の中に沢山いて、とてもこんなものは自分には出来ないな…
と思うこともしばしばあります。”



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こう思うにいたるまでにはかなりかかってしまいましたが(10年以上、多分20年近く)、
この自分の言葉に結構救われていたります。
まぁ、おめでたいと言われればそうかもしれませんが…。
これには自分の好みを自分自身で分析し、ある程度以上それを言語化できるようになる必要が
あります。それが出来てくると自分でもわりと素直に納得できるようになれましたので、
こういうこと考えるのって、創作そのものと同じくらい重要なことかもしれないなと思います。


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インタビューでは続けてこうも言っています。


“これにつながるのですが、自分が作ったものよりも明らかに良い(いくつか好みではないところが
あったとしても)、すばらしく好みだ、と思えるものに出会った時は“あぁ、やられた…”と思って
背中のあたりがカァーッと暑くなったりします。

これは、あせりのようなものを感じて一時的に体温が上がるのかなと思うのですが、そういう
ライバル心のようなものが湧き上がる場合はまだいいのですが、酷い時は自分の能力の低さに
ガッカリして、こんな良いものを作れる人がいるのなら自分がやらなくてもいいじゃないか、
こういう人に任せればいいや、うんその方がいい…などと思ったりもします。
素直に負けを認めるというか、まるっきり負け犬の精神状態です。

ですがしばらくすると、
やっぱりやらなければ、やって本当に良いもの、会心のものを作らなければ…、
そうでなければ絶対に自分は満足できない、そう思い直します。
思い直すまでにかかる時間はまちまちですが。

どういうものを良いと思うのか、きれいとか美しいの判断基準はどうなのかというと、
自分の感覚に正直に、としかいえないのですが、ただ自分の感覚に正直にといっても、
根拠も無く自信だけ大きくしていってもどうしようもないので、そこは冷静に客観的な評価を
しなければならないと思っています。
その上で自分の感覚に正直に…、そしてその結果に責任を持つ、そいう覚悟は必要です。”



こんな感じです。
インタビューはこの前後にもあるのですが、今回はここだけ抜粋してみました。


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世の中には自分よりもっと良いデザイナーがいる、それもものすごく沢山。
それはきっと間違いないです。

でも、自分の好みを反映できてこれは会心の出来だ!と思えたら、そう思えるのならきっと大丈夫。
そんなふうに思います。


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もちろん、その“会心の作”が採用されない場合もあるでしょうし、不本意な修正を要求されることも
あるでしょう。そういう時は心の中で「あぁ…もぉ何でよ…、しょうがないな…。」と思いながらも
少なくとも表面上は快く応じますw クライアントさんには喜んでもらいたいですし、彼らの立場を
悪くするようなことはしたくないですから。


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色々あっても自分で納得できるものを一度でも完成させられていたら、そのほかのことはもう
それほど気にしなくてもいいかな、そう思うと、そう思えると、わりと気が楽になります。


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ウクライナがロシアを追い出して勝利して、全ての領土をとり戻し、
ロシアにきっちり賠償させて、平和を取り戻せるまで応援したいです。

We support Ukraine with all our might!
We are all on your side.
Ми підтримуємо Україну всіма силами!
Ми всі на вашому боці.


パレスチナのハマスとイスラエルの争いでは明確にイスラエルを支持します。
ハマスは非常に悪質なテロ組織です。








自分の好みを自分以上に反映できる人は他にいない、多分…。




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コメント 2

triton

奥が深く悩ましいテーマですね。
私は自身で納得いくデザインが出来た時はそこが満足の頂点で納得するようにしています。
その後は技術やコストや色々な意見が出て自分だけではコントロールできない状態で商品化が進むことがあるので非常に難しいですね。
家具の世界ではミニマルデザインで有名なあの方は堂々と自分のデザインだと宣伝されているソファーがありますがどう見てもヨーロッパの女性デザイナーの丸パクリと思うのですが、何も問題にならないのがインテリアの世界です。
確かそれにGマークまで与えてしまっているのですから。
ストラトスのレプリカがGマークを取ったような感じです。
自身がしっかりと意思をもってやって行けばいい事なのですが、あれあれって感じですね。
by triton (2023-12-17 23:28) 

ash_institute

triton さん
いつもありがとうございます。
以前にも何回かお聞きしている某有名デザイナーのパクリ疑惑と周囲のまるで
忖度しているかのようにそのことについて触れない、不自然な反応のことですね。
私が書いた “自分よりも良いデザイナーがいるという厳しくも客観的な事実に対して
どう折り合いをつけてモチベーションを保ち続けるか” という問題とはやや異なる
趣旨のお話になるかと思いますが…、そういった有名になったもん勝ちとでもいう
ような、本当の価値を評価してくれない(評価する能力がない?)、妙な取り上げ方、
持上げ方は納得いかないですよね。
個人的には “事実は変わらない” と思うのですが、ある種の悪意を持って事実を
捏造するようなこともしばしばあるのが現実の世の中なので、そういうことに
触れると嫌な気持ちになりますね。

by ash_institute (2023-12-22 00:12) 

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