Pininfarina Ferrari 512S Berlinetta Speciale (1969) [車、カーデザイン、ミニカー]
ピニンファリーナが1969年11月のトリノショーで発表したコンセプトカー。
ランボルギーニカウンタックの発表が1971年ですので、それよりも2年早いタイミングです。
これをもって、さすがピニンファリーナ、ベルトーネの先を行っていたか… ということではなくて、
この種の極端なウェッジシェイプはこの頃のトレンドだったということです。思いつくところで、
アルファロメオ・カラボ 1968年
ランチア・ストラトス・ゼロ 1970年
マセラティ・ブーメラン 1971年
などなど…、刺さりそうなほど鋭い形がワラワラ出てきます。これらコンセプトカーの情け容赦ない
とがりっぷりをみると、カウンタックなど、むしろおとなし目のほうであったかとさえ思えてきます。
1969 Ferrari 512S Speciale (Pininfarina) - Studios
http://www.carstyling.ru/en/car/1969_ferrari_512s_speciale/
969 Ferrari 512 S Berlinetta Speciale Pininfarina Concept
https://www.facebook.com/1969Ferrari512SSpecialePininfarinaConcept.V.C0071
ウェッジではありますが、ショルダーラインの抑揚など、車らしさというか、ピニンファリーナ
らしい優雅さのようなものが感じられますし…、
同じ頃に同社が発表したアバルト2000スコルピオーネなどとも共通性が感じられるデザインです。
Fiat Abarth 2000 Scorpione 1969年発表コンセプトカー 2014年8月4日
http://ash-institute.blog.so-net.ne.jp/2014-08-04
カラーがイエローというところも、最初のカウンタックのプロトタイプと同じで(繰り返しますが
こっちが先)、余計そう思わされるのかもしれませんが、このフロントまわりなど、カウンタックと
かなり似たイメージです。
当時のベルトーネのチーフ、若き日のガンディーニは結構影響を受けた…かどうかわかりませんが、
似てはいます。
こういう女性モデルの使い方、車のデザインとともに時代を感じさせます。 車のデザインでは
60年代後半から70年代前半は本当にすばらしいと思うのですが、こういう写真の女性モデルの
使い方はちょっと…正直いないほうがいいなぁと思います。
こんなふうにギヤボックスが後ろから見えるのって魅力的。今ならディフューザーで隠れてしまい
ますけど。
総じて、当時としては十分前衛的でまとまりもよくきれいなデザイン(あっさり目で個人的には
かなり好み)ですが、後のカウンタックななどと比べるとややインパクトが弱かったかもしれません。
それでも、もしもこれが市販されていたら…、それはそれでセンセーショナルで、カウンタックが
あれほどのインパクトを世界中に与えられたかどうか、少しばかり疑問にもなります。
カウンタックの特徴としては、まずあの前衛的なデザイン、メカニカルレイアウト、そして剛性の
塊のようなパイプワークのフレーム…などなど色々ありますが、何よりすごいのはあの形でちゃんと
市販されたということです。(ちゃんとというのはとらえ方次第で色々ありますが…、それはまた
話が違うので、ここでは触れません)
ショーモデルを見た誰もが、まさかあの形のまま市販されるとは、夢にも思わなかったでしょう。
よく見ていくと、ちゃんと市販車として成り立つように色々考えられていることがわかるのですが、
そんなことを思わせないほどの浮世離れっぷり。まさに冒頭で取り上げたコンセプトカー達の仲間に
しか見えませんでした。
そしてもうひとつ、この車、512S Berlinetta Speciale がこれだけのデザインのわりに記憶に強く
残らなくなった理由があります。同じピニンファリーナでほぼ同時期に(正確にはこれよりも
少し前に)作られ、この車のすぐあとで発表され、同社のイメージシンボルにもなるような傑作が
翌年発表されるからです。その傑作については次回取り上げようと思います。
黄色って、形が良くないと似合わない というのは持論のひとつ…。
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