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排他律という言葉をよく考える [Web、CG、スケッチ、デジタルモデリング、仕事]

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排他律という言葉、ご存じだと思いますが、私はこの言葉が仕事中時々頭に浮かびます。
専門的には量子力学の法則のひとつで、今はパウリの排他原理というほうが一般的らしいです。
ですが、私あたりが仕事中に量子力学の事を考えるわけではありませんw

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形を考えていて(これは機構でも、カラーリングでも、その他色々あてはまります)、
いくつか案が浮かんで、2つ以上の案が魅力的に思えた場合、この言葉が浮かんできます。
どちらかを採用すれば、どちらかは日の目を見なくなる。量子力学とかの専門的な話ではなく、
単純に、同じ場所、同じ時間に、2つ以上のものは存在できない、そういうことです。

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例えば、ドアの開け方をガルウイングタイプにするか、インセクトタイプにするか、そんなことです。
インセクトタイプというのは、昆虫の羽のようなイメージということでこの名前がついているらしい
のですが(他にも言い方があるらしいですが、ここではこう呼ばせていただきます)、大きく分ければ
ガルウイングの一種ともいえるもので、ガルウイングが垂直方向に動くのに対して、斜め前方上方に
開くものです。近年はオーソドックスなガルウイングはあまり採用例が無くなったように思います。
メルセデスのSLSくらいかな…?それももう最近ではないですけど。

1枚目と2枚目の画像はIkeya Formula IF-02RDS prototype の実際に採用された案の線図で、
3枚目と4枚目はガルウイングタイプを検討していた時のスクリーンショット画像です。

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これらのドアの開閉方法はボディ形状によってメリット/デメリットを様々な面で比較検討して
決定されます。多くの場合、ガルウイングタイプはヒンジの設計が比較的単純でやりやすく、
私としてはどちらもいいかなと思うのですが、IF-02RDSでは池谷さんの強いご希望でインセクト
タイプで行くことになりました。


5枚目以降はASPARK OWL prototype のインセクトタイプドアの開閉状況をクライアントに
見ていただくために作った画像です。

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aspark_owl_exterior_door_opening_exam_02.jpg

アスパーク社の吉田代表もインセクトタイプがお好みだったようで、こちらは最初からこの方法で
いくことを前提として検討を進めました。

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途中、「ドアの開く角度をあまり大きくしないでほしいとか、ヒンジが大きすぎるような気がする…」
とか、ちょっとこちらとしてはピンとこないようなことを色々と心配されたようで…、私としては
どうしたものかと思ったのですが、「多分大丈夫ですからあまり心配せずお待ちください。」
というようなことを言ったと思います。

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で、出来上がったもの(最後の写真)は…、とてもご満足していただけたようでホッとしました。

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フランクフルトショーにはアスパーク社の吉田代表と同社の社員2名、計3名だけが乗り込み、
私をはじめ製作にかかわった人は誰も来てくれという要請もされなかったので、日本にいて、
ただ、大丈夫かなと心配していたのですが…、案の定会場からヘルプ要請が来ました。
「ドアを開けるのをアシストするガススプリングの反力が足りない(開いてはいるがやや心もとない)、
何とかならないか?」ということです。やっぱり来たかと思いながらw そんなこともあろうかと
リンクにマウント位置をいくつか選べるようにたくさんの穴をあけておいた(その位置によって
作用点での反力が変わる)ので、その位置を変えて様子を見てください…と伝えたのですが、
イケヤフォーミュラさん曰く「素人のアスパーク社の人達にそれを説明してもきっとダメだと思うので…」
ということで、ものすごく原始的で工具もいらない(!)、でも有効な方法を先方に直接指示して
いただき、事無きを得ました。どんな方法かはここでは書きませんが、さすがイケヤフォーミュラさん、
機転が利くなと感心した一件でした。







排他率、わざわざそんな言い方しなくても当たり前のことですよね…。




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