東京モーターショー2017プレスデー(2017年10月25日)その4 Facebookから動画をシェア IF-02RDS ロードバージョン開発経過 [Ikeya Formula IF-02RDS]
プレスデー初日、その4は…
Facebookに auto motor und sport さんが他の出展車の動画とともにアップされていた動画を
見つけましたので、こちらでも紹介させていただきます。(上の画像はそのスクリーンショット)
https://www.facebook.com/automotorundsport/
Ikeya Formula IF-02RDS im Video
※最初の数秒間だけ少しボケて見えますが、すぐにきれいにフォーカスします。
ボディのリフレクションがすごくきれいに見えて嬉しくなります。こういうリフレクションは
スタジオでの撮影には無いもので、個人的にはこういうほうが印象的で好きです。
動画のシェア、うまくいくかな…。
東京モーターショー2017プレスデー(2017年10月25日)その3 IF-02RDS ロードバージョン開発経過 [Ikeya Formula IF-02RDS]
東京モーターショー2017
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プレスデー初日、その3は主にリヤビューとドアを開けた室内の様子を。
ちょこっとだけフロントとサイド。 右のスーツの男性が池谷さん。ダンディでカッコいい。
ここからリヤビュー、というかリヤエンド。
私の検討ミスでイケヤフォーミュラさんにご迷惑をおかけしてしまったリヤウインカーだが、
斜めから見た時の発光面積を大きくするために追加製作したスリムなLEDタイプのウインカーは
池谷さん思いのほか気に入ってくれて結果オーライ。良かった。
池谷さんが優しくて私に気をつかってくださっただけかもしれないが。
下の2枚の写真で点灯しているのはブレーキランプ。これらの写真では黄色っぽく見えるが
実際は普通に赤く光っている。
リヤコンビランプとマフラーの遮熱板を兼ねたメッシュカバー、どちらも1号車と異なるところ。
全体的には元々頭に描いたデザインイメージに近いものになり、質感もまとまりも良くなったと思う。
かなり気に入っている。(いつもながらオメデタイ)
ドアは開港面積も開く角度も1号車よりも拡大され、格段に乗降性は良くなっている。
ヒンジの内部にはイケヤフォーミュラのTさん設計のリンクとガススプリングが巧妙にレイアウト
されていて、ほぼどの角度でもドアはその位置を保持する。私の設計では量産車と同じような
ドアチェッカーを使うことを想定していたのだが、それよりもずっと高度で良い仕上がり。さすがだ。
ヒンジ自体も、以前の記事で書いたようにイケヤフォーミュラのFさんが保安基準に適合するように
量産車のパーツと巧妙に接合してくれて、こちらも良い仕上がり。
シフトレバーはドライバーの右側。
インパネとサイドトリムのつながるところはイケヤフォーミュラさんで独自に造作したところで、
これによって一体感が生まれて良い雰囲気になっている。
ここに限らず、インテリアはAピラーやルーフトリムを含めて全てインナーパネルが新設され、
それらがスウェードで覆われて一体感を出している。1号車の時はアウターパネルのFRPの内側や
フレームの角パイプ、アルミパネルなどがむき出しだったので、全体的な質感の差は大きい。
シフトノブは池谷さんがちょっと試してみたかったという黒檀の削り出し。とても良い質感。
もっとアップで撮ればよかった。
ドアのインナーパネルはNT Connect の内藤さんが色々工夫して造作してくれた部分。
ここも1号車と大きく異なるところで、ずっと見栄えのいいものになった。
インナードアハンドルのつく赤いパネル(ボディと同色)は、バリエーションとしてカーボンや
スウェード貼りにしてもいいと思う。
コンセプトモデルである1号車から、保安基準を満たすために一見そうとわからないようなところも
含めて、様々な箇所に変更が加えられたこの2号車、ロードバージョンだが、少なくともドアまわり、
リヤエンド、そしてインテリアに関しては1号車よりも客観的にずっと良くなったと思う。
保安基準を完全に満たすための修正を検討し始めた頃は、これを全部やったら到底このイメージは
保てそうに無いな…と正直暗い気持ちになったのだが、色々考えに考えて、工夫して、苦労して、
イケヤフォーミュラさんの方々に何度もご迷惑をおかけして…、そうして出来上がった2号車は、
結果としてそれほど悪くないというか、むしろ1号車よりも見た目の面でも機能面でも良くなっている
ところも多く、色々な面でうまくいって良かった。幸運が重なったのだろうと思う。
今回のブースは写真撮りやすくていい。お気に入りが何枚も撮れた…。
東京モーターショー2017プレスデー(2017年10月25日)その2 IF-02RDS ロードバージョン開発経過 [Ikeya Formula IF-02RDS]
東京モーターショー2017
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プレスデー初日、その2は新開発のV型10気筒エンジンの写真を主に。
1号車の開発時からエンジンに関してはずっと懸案事項のひとつで、2013年の東京モーターショーで
見て欲しいと言ってくださった方々のそのほとんどからも、エンジンをもっと強力な、この車に
ふさわしいものに出来ないかと言われたそうで、池谷さんご自身もそう思っていたであろう事は
想像に難くない。
2号車の開発途中では様々なところから協力のお申し出があって、すばらしいお話には大喜びしたり、
それが互いの勘違いだとわかってガッカリしたり…、可能性のある魅力的なエンジンに関して色々を
検討した。
池谷さんの考えも何度か変わったような気もしたが、心の中はずっと変わらなかったんだろうと思う。
結局こういうこと(今回の試作機発表)になって、それは当初、そんなことが出来ればどんなにいいか、
それが出来れば夢ですけどね…、なんて言っていたことそのものといえる。
もちろんこれがモノになればの話しだが、池谷さんが決断して、このV型10気筒オリジナルエンジンの
開発を進めることになったのだから、こちらとしては喜んで、出来る限りの協力をしたいと思う。
想定されている基本スペックはこんな感じ。
上の写真のスペックに書かれていないことも含めて、これまでに池谷さんから聞いているところに
よれば、基本構成は1989年頃のF1用3.5LのV型10気筒エンジンに近いもので、それらより低速トルク
を増すため少し排気量アップして4.0L。世の中の他の10気筒エンジンよりも1気筒あたりの排気量は
小さめ。高回転を狙った超ショートストロークだから基本的に低速トルクは出しにくいが、この排気量
と軽い車重(目標1200kg台?)であれば、それほど扱いにくいものにはならないだろう。
目標出力は450kW≒612ps程度。注目すべきはその最高許容回転数で、設計者の想定では十分な
マージンをとって“抑えて”12,000rpm(!)程度。10気筒エンジンで1万回を優に越える…、
いい音がしないはずが無い。
バンク角は90度。V型10気筒の場合、72度のほうが連続した高周波の排気音を得るには有利とされる
のだが重心(他の条件が同じなら当然90度のほうが低い)まで含めたパフォーマンスの点で設計者は
90度がお勧めとの事。ちなみに、世界一いい音のするレクサスLFAは72度で、個人的にはあの音に
近い音が出せるのなら重心のことは少々目をつぶっても…と思うのだが、あれはバンク角だけで
あの音を出しているわけではないし、こちらはより高回転だし…、何はともあれ、試作機の火入れを
楽しみに待ちたい。
カムシャフトの駆動方式は多くのレーシングエンジンがそうであるようにギヤトレイン。
当然ギヤノイズは相当するだろうが、この超高回転エンジンにベルトやチェーンよりもふさわしい
のは確か。
燃料供給は今時はやりの直噴ではなく、制御がシンプルなポート噴射。池谷さんによれば直噴は
とにかく制御が複雑で非常に繊細なので、こういった新開発のエンジンであえてそれにチャレンジ
することはせず、まずは気持ち良く高回転で回していい音(と十分な出力)を出す、そのことに
専念できるように他の検討要素をなるべく少なくおさえておきたい、ということらしい。
ギヤボックスも、それとエンジンの間に入るクラッチハウジングも完全オリジナル設計。
ギヤボックスの中身はもちろんIST(Ikeya Seamless Transmission)。大出力に対応したものになる。
反射で白っぽくなってちょっと見づらいが、クランクケース左側にはスカベンジングポンプがずらり。
ドライサンプエンジンならではの光景。
同軸型のウォーターポンプとオルタネーター。
このエンジン試作機などを見ていると、やっぱりエンジンはV型の多気等がいいなとつくづく思う。
ダウンドラフトでエアファンネルが2列ずらっと並んでて、そして何よりこのエキパイの造形と質感。
(ちなみにこの試作機のエキパイはインコネル製=大変高価)
こういうものを見るともう、エンジンは縦置きNAのV型多気等に限るなとつくづく思う。
同じことを何度も書いてしまうほどそう思う。
全体の造形がもうエンジンの王道というか、ありがたさいっぱいでいい。
まさかオリジナルエンジンを開発することになるとは、それもV型10気筒…。
東京モーターショー2017プレスデー(2017年10月25日)その1 IF-02RDS ロードバージョン開発経過 [Ikeya Formula IF-02RDS]
東京モーターショー2017
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数日前、イケヤフォーミュラさんから出展者入門証を送っていただいていたので、それを使わせて
もらってプレスデーの初日に行ってきた。とりあえず何回かに分けて写真をアップしていきます。
イケヤフォーミュラさんのブースは東2の入り口を入って右前。
イケヤフォーミュラさんのブースは2013年のときよりもずっと良い場所で(普通の自動車メーカーの隣)、
スペースも広くなり、照明も増えて、床が白いこともあって展示車両が映えてとてもきれいに見える。
良いブースになって良かったと思うとともに、せっかくならここにもう1台、フランクフルトショーに
出展した例のスーパーEVを並べて展示したかったな…とまたあらためて思った。東京モーターショーには
展示しないというクライアントの意向だからしょうがないのだが…、シルバーに塗装されてインテリアも
きれいにしつらえたショーカー、あるいはカーボン地むき出しの記録狙いの車両、どちらかだけでも
このIF-02RDS Road version と並べて展示したらどんなにインパクトがあったかと思うと、つくづく残念。
あと2~3回イケヤフォーミュラさん関係のことを書いて、あとは他のブースの写真もちょっとだけ
撮ってたので、それらについても書いていこうと思うのだが、正直なところ見るべきものが少なくて、
ちょっと寂しかった。この内容では、特に海外から取材に来てくれる方々には申し訳ないような…、
このままではますます出展者が減り、取材者も減る…、悪循環に陥ったままになりそうな気がした。
明るいときれいな写真が撮りやすくていいな…。
東京モーターショー2017出展(2017年10月25日) [Ikeya Formula IF-02RDS]
東京モーターショー2017
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本日10月25日、いよいよ東京モーターショー開幕。プレスデーとか、特別招待日とか色々あって、
一般公開は10月28日(土)~11月5日(日)からです。
私は本日昼頃会場に行く予定。
数日前、イケヤフォーミュラさんのウェブサイトのトップページ上段の画像、スライドショーでサラッと
表示されていた新開発V10エンジンの試作機(上の画像3枚目)。これが今回のもうひとつの目玉。
他には特に情報を出していないので気がつかない方も多いと思う。私も見つけたのはたまたまのことで、
正式に発表するのはショー会場でのことかと思っていた。
数日前にイケヤフォーミュラさんから写真を送っていただいて見てはいるのだが、完成状態の現物は
まだ見ていないので会場で見るのが楽しみ。池谷さんはすごく気に入ってくださったようで嬉しい。
V10エンジンの試作機、そして開発に5年をかけ、ようやくナンバーをつけたIF-02RDS Road version、
是非とも多くの方に会場でご覧になっていただきたい。
やっとみんな公開できる…。
リヤエンブレム(2017年10月22日) IF-02RDS ロードバージョン開発経過 [Ikeya Formula IF-02RDS]
後回しになってしまっていたリヤエンブレムが届いたので、出来上がりを確認。
上の写真は1号車、2013年の東京モーターショーで撮影したものだが、今回作ったものも基本的には同じ。
予備も含めて2セット製作。問題無いようなので、即イケヤフォーミュラさん宛てに発送。
これで東京モーターショー前に弊社が行うことは全て終了したかと思う。
下の写真は2点とも2013年の東京モーターショーで撮影した1号車。
今回のロードバージョンではリヤコンビライトを変更したので、リヤカウルにもそれに伴う修正が
施されている。エンブレムはそれに合わせて取り付け位置を少し車両中心側に移動することになる。
本当はもうひとつのパターンのエンブレム(円形モチーフのもの。フロント、サイド、リヤ右側につく)
のほうも、相応な製法できちんとしたものを作りたいのだが…、それまたの機会にということで。
先日撮影した写真などを使ったパンフレットは、あのタイミングでの撮影だったので、画像処理、編集と、
きっと間に合わせるのに大変なことになっていると思うが、出来上がりを見せていただくのが楽しみだ。
この車両と、他の2つの展示物も、みんな無事に搬入できますように…。
スタジオ撮影(2017年10月16日、17日)その4 IF-02RDS ロードバージョン開発経過 [Ikeya Formula IF-02RDS]
スタジオ撮影の様子をお伝えする4回目。
白バックでサイドビュー。
この前後カウルの開き方は見た目優先でこうしたのだが、池谷さんはそれほどこの開き方にこだわりは
無いらしい。レイアウト、設計的にも色々苦しいところがあるし、実用上も色々面倒な所があるのは確か。
なので、次のバージョンでは変える可能性大。 個人的にコレクションするならこれがいいけど…。
カウルを開けた状態でどう撮るか、シャシーはどう表現するか…、みんなで色々審議中。
ターンテーブルを動かして色々なアングルで撮影。
静止画の撮影の合間にはまた動画を撮影。
白バックで全体的に明るいので今度は私のカメラでもまぁまぁ撮れる。
(カメラの問題ではなく腕前の問題…)
こういうところを見ていると、やっぱりこのカウルの開き方はこれはこれで魅力的なんだがな…と思う。
今後これが変わるとしても、この形で車検取れたのは良かった。
インテリアはあまりいい写真が取れなかくて(こんなブレブレでもマシなほう)残念なのだが、サイド
トリムと連続するような造形になったインパネ、ピラートリム、ルーフトリムも全てスエードレザーで
覆われ、全体的に1号車よりもずっと質感が上がっている。
メーターパネルに相当するのはMoTeCのカラーディスプレイ。このアナログ風のグラフィック以外にも
いくつかの表示パターンがある。
リヤウイングに手を置く池谷さん。ようやく撮影も終了に近づき、相当お疲れのことと思う。
この時で明け方の4時か5時頃。撮影終了後にはまた栃木県鹿沼市までこの車を積んで帰られる。
池谷さんもイケヤフォーミュラの皆さんも、どうかご無事で。
これで、スタジオ撮影の様子をお伝えするのは一旦終わり。
何もしていない私でもそれなりに疲れたが、撮影に立ち合わせていただけて良かった。
皆様長時間の撮影お疲れ様でした。どうかご無事で…。
スタジオ撮影(2017年10月16日、17日)その3 IF-02RDS ロードバージョン開発経過 [Ikeya Formula IF-02RDS]
黒バックの撮影が終わると次は白バックに。黒バックの雰囲気もいいが、個人的には白バックのほうが
好き。形状の全容がつかみやすいし、明るい感じがいい。
本当は野外で明るい日差しの中、新緑のリゾート地とか南欧風の街並みとか、そういった美しい景色を
背景にしたところを見てみたいが、それらはこれからのお楽しみだ。
背景の黒幕を片付けるためにいったん車を撮影スペースに移動。
くだんのインナーレンズを装着したフロントウインカー。
ドアヒンジにはこんな感じでAピラーと同色に塗装されたカバーがつく。
ウインドー越しに見えるインテリアも、1号車よりも少し量産車風な処理がなされて質感アップ。
ワイパーも不安要素のひとつで最後まで心配していたのだが、何の問題も無く車検は合格。
保安基準ではドライバーのアイポイントを基準として上下何度、左右何度の範囲の領域の80%以上の
払拭面積が必要とのことで、もしかしたらメルセデスベンツの何世代か前のEクラスで採用されていた
ようなリンクを使ったワイパーアームが必要になるかも…と心配していたのだが、結果、その必要は
無かったと。ちょっと拍子抜け気味だが良かった。
イケヤフォーミュラのFさんによれば、このシンプルなシングルワイパーでかなりいい感じに雨水を
拭き取ってくれるそう。ちなみに私はワイパーの選定はしていない。イケヤフォーミュラさんのほうで
選定した量産車用のワイパーを、このガラスの形状に合わせてアーム部分を手曲げで成形したそうだ。
いつもながらさすがである。
実は1号車の開発を始める頃に(きっとこんな曲率のきついガラスではワイパーが問題になるだろうから
それを後回しには出来ないと思い)ワイパーメーカーに相談したことがあるのだが、その時に一般的な
形状のブレードで拭き取れるガラスの曲率はおおむねR900が限界であることと、いわゆる“卵の表面”
は拭けません、と明言されていた。結局そのワイパーメーカーはこの車の専用品は開発できないとの
ことで、話はそこまでとなるのだが、非常に有用な情報を教えていただけて感謝している。
それで、1号車の時はともかく、2号車、つまりこのロードバージョンではそれらの条件を満たしつつ、
なるべく1号車のようなというか、本物のレーシングカーのようなイメージを残すようにとデザインを
していくのだが、特にフロントウインドーとサイドウインドーの面の連続性には気をつかった。ここが
うまくいかないとこの車のイメージが保てない。一般的な量産車と大きく違うところのひとつである。
Aピラーの位置と形状は3Dデータで何度も検討したが、それがクレイモデル化され、FRP化され、塗装
されて…リフレクションが素直にきれいに通っている事を確認できて、ようやくここに関してはとりあえず
ひと安心となるのだが、データ上、モデル上では形になっても、ガラスを作る上ではどのウインドーにも
保安基準の二重像の問題などがついて回るし、ガラスメーカーの成形上の制約(極端な3次曲面は難しいし、
全くの2時曲面もまた難しい)もある。もう色々盛りだくさんである。
開発の途中でガラスメーカーの事情が変わり、別のメーカーにお願いしなければならなくなったりもして…、
今思い出しても良くものに出来たなと思う。
このもろもろ全てを乗り越えた上で、ワイパーがちゃんと必要な面積を拭き取ってくれるのか…、
ナンバーが取れるまで、心配は尽きなかったわけである。
撮影スペースの外で照明を落としたところ、何だかいい雰囲気。ちょっとドラマチックな絵柄に
思えたので写真を撮っていると、池谷さんも同じことを思ったとのことで隣でパシャパシャ。
やっぱり好みが似ている。
白バックの準備が整い、撮影再開。まずはフロントから。
次にリヤ。
リヤウイングの幅も保安基準を満たすため、1号車から片側120mm程短縮されている。
1号車ではほぼ全幅に近いウイング幅でワイド感が強調されていたが、それは少し薄れた。
それでも、ロードカーでこんな大型で本格的なウイングはそうそう無いだろう。
本当はリヤエンド右側には1号車と同じように Ikeya Formula の筆記体のエンブレムがつくのだが、
私が別の仕事(今回の東京モーターショーにおけるイケヤフォーミュラさんのもうひとつの目玉)
のデータ作成で死にそうになっていて(本当にここ何年かで一番きつかった…)手配が遅くなり、
この撮影時はまさに製作の真っ最中で間に合わず。
それどころか、普通に作っていたら東京モーターショーの開幕にも間に合わなくなる…というので、
無理をお願いして他の比較的納期に余裕のあるものと順番を入れ替えてもらうなどして、何とか
ショーの開幕にだけは間に合うようにしていただくことに。
こういう仕事をしていると、いつもどこかに無理をお願いしなければいけないようなことになるが、
その無理なお願いにがんばって対応してくださる皆様方には、ただただ感謝しかない。
あと(多分)1回、スタジオ撮影の様子が続きます。
これが夜中の3時頃。皆さん眠さと疲れに耐えながら撮影は続く…。
スタジオ撮影(2017年10月16日、17日)その2 IF-02RDS ロードバージョン開発経過 [Ikeya Formula IF-02RDS]
スタジオ撮影の続き。
撮影は夜の8時から行われ、夜中というか翌日の明け方までかかった。
ナンバーが取れたのがぎりぎりだったし、それからスタジオをおさえるわけだからまともな時間帯では
そもそも無理というもの。でも、このターンテーブルを備えたスタジオが借りられて良かった。
うちからは比較的近かったし。(といっても車で小1時間はかかる)
このドアの開き方は基本的には1号車と同じなのだが、池谷さんからのリクエストもあり、
より開口面積を広く、角度も大きくなるよう設計変更。ヒンジの設計と製作には結構苦労して、
それでも何とか組みつけた…と思ったら、保安基準を満たすには量産車のパーツでないとダメ
ということで、そんな、いまさらそんな事言われても…、こんな特殊な形状の外ヒンジの量産車
なんてまず無いし…、全くどうしたものか、と思っていたら、イケヤフォーミュラさんのFさんが
またまた苦労して、ある量産車のヒンジとオリジナルのヒンジを巧妙に結合することに成功!スゴイ!
それでサクッと組付け直し。(実際は細かな修正が色々あったことはもちろん)
キャッチロックとストライカーも同様に量産車用のパーツと入れ替え。書くのは簡単だが本当にスゴイ。
ただ、それでも、“この構造で検査官に何か突っ込まれたら、ダメかもしれません…” ということで、
もしもそうなってしまったら、ドア周り全面変更という事にもなりかねず、ちょっと気が遠くなりかける。
そういうことで、ここは不安要素のひとつだったのだが、実際の検査では何事もなく済んだそうで、
良かった、つくづく。
ポジション(スモール)ライト点灯状態。
ポジション(スモール)ライトとヘッドライトロービーム点灯状態。
ヘッドライトは保安基準のヘッドライトの最低高さ(下端が地面から500mm以上)を満たすため、
1号車よりも高い位置に移動したのだが、そのままでは見た目的に間がもたないだろうと思い、
エアインテークかウインカー/ポジションライトなどをレイアウトしようと考えて、このあたりの
デザイン変更を検討していった。
だが、ヘッドライトに使うユニットがなかなか決まらず、何度もデータを作り直すことに。
ヘッドライトユニットが決まらなかった理由はとにかくスペースが無いから。
ストロークはわずかとはいえ、フロントタイヤがステアした状態でフルストロークしてもヘッドライト
ハウジングの後ろ側と干渉しないようにと考えると、普通の量産車用ユニットでは、分解しようが
何をしようがまず収まらない。車検対応品でこの狭いスペースに入るもの、出来ればEマーク付きを…
なんていうと尚更見つからない。ヘッドライトスペースはウインカーやポジションランプなども色々と
関連してくるので、ここはそれらがどうなっても対処できるように考えておかなければならない。
ということで、ここはポジション(スモール)ライトでもウインカーでもどちらでもいいようにと
考えていたのだが…、ウインカーの件では保安基準の解釈を私が間違えていて、追加インナーレンズを
急遽製作して何とか対処…というようなことは以前書いたとおり。
最終的に使用する事になったヘッドライトユニットは、ドイツ製の超小型LEDユニットで嬉しい事に
Eマーク付き。この製品のシリーズにはロービーム用とハイビーム用があり、ロービーム用はLEDチップ
1個にプロジェクターレンズと遮光板付き。ハイビーム用はLED3個がセットになったもの。
このロービーム用の遮光板付きというのは魅力的だったのだが、事前に何回か行った点灯試験で、
アウターレンズ用のアクリルを通すとごくわずかながら光量不足になることが判明。裸の状態では
ぎりぎり大丈夫なのだが、厚さ3mmのアクリル(スモークなどではない普通のクリア)を置くだけで
足りなくなってしまうとは…。この小ささでLED1灯では、元々の光量がぎりぎりだったという事らしい。
ハイビーム用のユニットに遮光板をつけるのは構造上無理なので、どうしたものかと思ったのだが、
イケヤフォーミュラさんによれば、保安基準では遮光板の有無までは問われていないらしく、配光特性と
光量だけが問われるので、ハイビーム用ユニットの配光を下向きにして使う事でこの問題は解決。
結果として同じユニットが片側3個並ぶことになった。
お気づきの方も多いと思うが、少し前の状態では排気管が左右2出しの4本出しだったのだが、
最終的にはこのように片側2本出しに。これは苦戦した排ガス試験対応の結果。何度か試験に
臨むたびに色々修正を加えていったそうなのだが、最終的には排気管の管路長を長くして
触媒をいくつか追加、内部の取り回しを大きく変更。これでようやく排ガス試験合格。
それに伴って遮熱板も作り直しになり、素材(パンチングメタルから、エキスパンドメタルと
鋼板の組み合わせに)、形状、色(シルバーから黒に)全て変わった。左右非対称にはなって
しまったが、個人的には前の状態よりもスッキリしていいと思う。元々の意図に近い。
イケヤフォーミュラさんの方との雑談で、次のバージョンではナンバープレートの下あたりで、
センター出しがいいですかね、などと話し合ったのだが、トランスミッションの大型化への対応や、
リヤカウルの開閉方法変更、それにともなうサブフレームやヒンジのレイアウト、リヤウイングの
支持方法の変更…など、色々考えると排気管のセンター出しは現実的な処理かと思う。
これで黒バックでの撮影がほぼ終了。次回は白バックでの撮影の様子をお伝えします。
この時点で確か夜中の1時か2時頃…。
スタジオ撮影(2017年10月16日、17日)その1 IF-02RDS ロードバージョン開発経過 [Ikeya Formula IF-02RDS]
先日、16日の夜から17日の明け方にかけて行われた撮影の様子を何回かに分けて書いていきます。
場所は神奈川県厚木市のスタジオトルカさん。電動のターンテーブルを備えたドームスタジオで、
こういった車の撮影にはとてもいいスタジオです。
TORUKA 【ドームスタジオ】スタジオ・トルカ
http://www.st-toruka.com/
所在地: 〒243-0807 神奈川県厚木市金田834−3
電話: 046-200-7383
最初は黒バックで撮影。とりあえずターンテーブルに車をのせ、回して様子を見ます。
写真がぶれているのはターンテーブルが回っていて、私の技量ではちゃんと撮れないため。
念願のナンバー。イケヤフォーミュラさんの所在地は陸運局の管轄でいうと宇都宮。
数字は希望ナンバーでもなんでもなく、ごく普通に申請して普通に交付されたものだそうです。
池谷さんの頭の中に希望番号がないわけではなかったそうですが、それにしようとするとすぐには
交付できないとのことで、スピード最優先で…こういうことになったそうです。個人的には
こういうほうが自然でリアリティがあって、悪くないと思います。(日本のナンバープレートの
形とレイアウト、そして文字そのものの見た目は残念ですが…)
また、撮影部隊としてはナンバーは隠して、イケヤフォーミュラさんのロゴの入ったプレートなどを
つけての撮影を考えていたようですが、そんなものは用意してありません。
普通何らかの媒体で使う写真では固体を特定できないようにナンバーは隠して撮影するか、
撮影後に修正するかするものですが、どうせこの車はまだ世の中にこれ1台しかありませんし、
ナンバーを隠したところで何の意味もありません。
そして池谷さんの意向、“せっかくナンバー取ったんだからそれを写さないでどうする(意訳)”
ということで、ナンバーは隠さずそのまま撮影となりました。 私も池谷さんの考えに賛成です。
撮影の準備が進められていきます。
カメラマンが思い描くハイライトや陰影を実現するために、ライティングが試行錯誤されます。
撮影はこれに一番時間がかかります。
パンフレット用の静止画を撮る合間に動画も撮ります。この動画はショー会場のスクリーンで流す
ものの一部になります。
フロントのナンバープレートのつけ方については、当初(1号車開発時)からフロントカウルの“谷”の
部分の比較的平らなところにペタッと置こうと考えていたのですが、このロードバージョンの開発が
終盤に差し掛かる頃、保安基準が変更され、垂直/水平方向ともに傾きは10度以内でないとダメという
ことになり、当初の案は成立しなくなってしまいました。
仕方なくその“谷”の部分に立てようかと思って、色々レイアウトを検討してみたのですが、
どうやってもいい感じにならなくて、正直かなり困っていたのですが、イケヤフォーミュラさんのほうで
この写真の位置につけていただいたのを見て、案外悪くないと思いました。これで車検が通るのなら、
へんなところに無理やり突っ立てるよりもよほどいいです。
イケヤフォーミュラの皆さんは、“最初見たときは違和感あるかもしれませんけど、しばらく見てると
慣れて違和感無くなりますよ。実際私達はもう違和感ありませんし。” とにこやかに言われるのですが、
私はこれを見た最初からそれほど違和感を感じず、むしろ自分の中でモヤモヤ心配していたのより
よほどまともで自然に見えて、ほっとした、というのが正直な印象でした。
1号車ではボディ同色だったリヤビューミラー、このロードバージョンでは本体がドライカーボン製に。
スタジオでの写真はたくさん撮ったので、あと3回くらい続きます。
スタジオでの撮影に立ち会えて、これも結構幸せ…。