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センスは磨けるもの、と言われたこと No.3 [日々の出来事、雑感、新年の挨拶、他]

01_腕を組んで座るサルタンバンク_01.jpg
ピカソ:腕を組んで座るサルタンバンク


私がファッションに興味を持つようになったきっかけは、古本屋で絵の題材になりそうな雑誌を
探していた時に、たまたま何枚か印象的な写真が掲載されていた流行通信という雑誌で、それは
パンクロック風な髪を逆立たせてめちゃくちゃなコーディネートで恐そうなメイクをした女性達の
写真でした。ファッショナブルとは思えないし、こんな髪にしたらいたんでしょうがなかろうに…
とは思いましたが、単純に絵というかグラフィックとして魅力的に見えて、当時変に惹かれていた
パティ・スミス(後にパンクにカテゴライズされることもあるが、明確にそうとも言いにくい、
ある種の抒情性を退廃的な雰囲気の中に合わせ持った独特な音楽性の女性ミュージシャン。ひどい
麻薬常習者で、髪は特に逆立てたりしていないが、まぁ病気っぽい。こういう惹かれ方するのは
やはり若い時ならではかなと思います)を思わせるものに感じられ、やっぱり変に惹かれました。

ゴッホ:アデリーヌ・ラヴォーの肖像
02_ゴッホ:アデリーヌ・ラヴォーの肖像_2.jpg


モディリアニ:(作品名はわかりません)
03_モディリアニ_01_83+84L_640x.jpg

一方、当時の私は油絵でピカソの新古典主義に強く惹かれ(1枚目の画像)、そこから続いてゴッホ
のごく一部(2枚目の画像)や、モディリアニの一部(3枚目の画像)、竹久夢二なども好きなもの
として認識していくのですが、ある日芸術新潮でヴァン・ドンゲンという画家の作品を目にして
それまで感じたことのない魅力を感じ、それは後の日本人画家、織田広喜さんなどの作品でも似た
ものを感じるのですが、写真などでは表現し得ない、絵だからこその表現であり、これこそ才能の
なせるわざ。こういうものは努力して頑張ったところでマネの出来るものではないような気もするが、
絵を描くならこういうものを目指さないといけないんじゃないか…、そう思ったのでした。

ヴァン・ドンゲン:女性の肖像
04_キース・ヴァン・ドンゲン_2:女性の肖像_1919.jpg

ヴァン・ドンゲン:Catherine La Rose
05_Kees van Dongen (Dutch-French, 1877-1968) - Catherine La Rose (23).jpg
芸術新潮で見て惹かれたものはこれにちょっと近い雰囲気ですが、もっとラフで
大胆な表現でした。残念ながら検索しても見つかりませんでした。

ヴァン・ドンゲン:コーンポピー
06_キース・ヴァン・ドンゲン_3:コーンポピー.jpg
ここまでいくとちょっと好みとは違ってきますが、これはこれですごいなと思います。

織田広喜:花をつけた少女
07_織田広喜 花をつけた少女.jpg
これは、とてもこんなふうには描けない…と思わされる代表格の絵です。


そう思いながら、同時に自分もそれっぽい表現で女性を描いてみたいと強く思っていました。
そしてそのモチーフとなりうるかも…そう思って、そのパティ・スミスっぽい写真が載った流行通信
という雑誌の中古を初めて買いました。

そのいくつかの写真からイメージを膨らませ、何枚か描いてみたのですが、どうも良くなりそうな感覚
がつかめない、自分が心地よく見えるものになるようには思えない…、これはこの先つきつめていった
としても自分の本当に描きたいものにはならない気がする…。
そう思えてきて、その方向の創作は中断してしまいます。
やっぱ才能無いな…、とてもこんなふうには描けない…。 挫折したわけです、油絵には。

その頃の絵も今まだ手元にあり、時がたって見直すと、苦しんで描いていた時のことがよみがえり、
それと同時に切ないような、何だかいとおしいような気持ちになります。こういうのも時間薬と
いうんでしょうか。

そういうことで、その方向の絵は中断するのですが、それとは別にファッションへの興味は膨らんで
いきました。


08_Comme des Garcons_1982+logo.jpg

そして流行通信の中古本を何冊か買うと、そこにそれまで見た事もない造作の服が出てきて、
これは一体何だ?何がどうなっているんだ? COMME des GARÇONSって小さく書いてある。
これがブランドか? コム デス ガーコンズ…とは言わないんだろうな、フランス語っぽいし。
まだ読み方もわからないコムデギャルソンとの初めての出会いです。

※上の写真は1982年、下の写真は1983年のもので、私が最初に目にしたものではなく、それより
 2~3年後のものですが、この頃の特徴的なものということでこれらを使いました。

09_tricot COMME des GARCONS (セーター)+COMME des GARCONS (スカート)_1983秋冬.jpg

後にそれが日本人デザイナー、川久保礼さんのデザインしたものであることを知り、その製品が
掲載された雑誌を探して見るようになります。ananが多かったです。同時期のnon-noとかJJとか
ましてヴァンサンカンなどではあまり取り上げられません。ananというのはかなり先鋭的で
クリエイティブなファッション誌を目指していて、実際そうなりつつあるのかもしれない…そんな
風に私は認識しました。その認識が本当にあっているかどうかはともかく、ananはDCブランド
大流行の立役者となり、取り上げられた服がanan発売日の翌日には完売するという、ちょっと
おかしなくらいの影響力を持つまでになっていくのですが…、その辺のお話は横道が過ぎますので
ここまでにしておきます。

10_Comme des Garcons_1983.jpg


そうやって油絵のほうでは挫折し、ファッションに対する興味が膨らんでいった時に、美術の先生
からあの言葉を聞くことになるわけですです。
「センスは磨けるものです。いろんな良いものを見て、触れて、経験を重ねることによってセンス
は磨かれていきます。(後略)」


とても3つでは終わらなくて No.4に続く (多分No.5くらいまでなりそう…)





書いていくと思い出すことが色々あって…。







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