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20年前のバルセロナ出張の話 No.3 [Web、CG、スケッチ、デジタルモデリング、仕事]

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撮影が始まり、車のセッティングやら、モデル達へ操作のレクチャーやら、色々とかいがいしく
やっていると、別の撮影隊らしい車が勢い良くやってきました。この時の日産は各種媒体の種類に
よって撮影隊を複数使っているようでした。


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この時やってきた撮影隊は若手カメラマンと、そのアシスタントの2人だけです。
このアシスタントはめがねかけた小柄な若い女の子だったんですが、まぁ、客観的にはそれほど
きれいとかカワイイとかいうわけではなくて(失礼です)、きゃしゃなアラレちゃん(ジャンプの
マンガ:Dr.スランプ アラレちゃん)という感じです。まぁ、ある種かわいいともいえますが…。
彼女は数週間前にマドリードからバルセロナへ引っ越したばかりなんだそうです。理由はバルセロナ
が大好きで、何回か遊びに来ていて、いつかバルセロナで暮らしたいとずっと思っていて、ようやく
念願かなって、その大きな夢を持ってやってきた、ということでした。マドリードからバルセロナ
ですから、日本で地方の人が日本一の都会、東京に憧れるのとはちょっと違うようです。こういう
人が結構多いんでしょうね、この街は。住んでいる人達が楽しそうで街全体が生き生きしていて
活気があるわけです。

この二人が乗ってきた車はイタリアのフィアット・ムルティプラという車。
http://www.italiaspeed.com/newmodels_multipla_2002.html

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機材がたくさん積めてちょっと変わった形の…というかへんてこなスタイル(失礼ではなく、
ほんとにへんてこで、突っ込みどころ満載)の背の高いワゴンみたいなので、当時の日本では
まずお目にかかれないので、私と、同行した先輩設計者(私が設計者として最も信頼する方)
の日本人二人で、
「おぉ、これがムルティプラかぁ…。つくづくヘンな形…。」
「何でここがこんなふうになってるんだぁ? 訳わからんぞぉー。」
なんてやってたら、そのアシスタントの彼女が私の手を引っ張って、
"乗ってみて、乗ってみて♪" 
ってやるんで、いいのかな?と思いながら運転席に座って、いろいろ装備を見てみました。
そうすると、今度は、前を指差して
「バモス、バモス!♪(英訳:Go,Go!)」って、
え?走ってみろって言ってるの? 
それは…、今仕事中だし、後ろに撮影用の機材いっぱい載ってるじゃん。どうすんの、これ?
と思って、さすがにテストドライブは遠慮しましたが、こんな調子で実にフレンドリーで、
サービス精神旺盛なアシスタント嬢なのでした。

彼女はカメラマンのアシスタントという仕事にまだあんまり慣れてないらしくて、
時々お師匠様のカメラマン(中々のハンサムさん)に、
「オールーガァー! 使ってないほうのカメラに新しいフィルム入れとかなきゃダメじゃん!」
みたいに叱られていました。でもその叱り方は、何かこう、愛が感じられる叱り方で、まわりの
みんなはほほえましく見ていました。
オルガというのは彼女の名前で、この名前はピカソの絵のモデルにもいるくらいなので、てっきり
スペイン女性の典型的な名前のひとつかと思って訊いたら、意外にもスペインでは珍しい名前
なのだそうです。オルガ。 まともだった頃(ばら色の時代の後期)のピカソの絵が好きな私に
とっては、ちょっと印象的な名前です。

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夕方の海岸での撮影も終わって、彼ら2人が先に帰ることになり(私達はまだ続く)、
みなさん 「アスタ マニアーナ!(じゃ、また明日ね♪)」なんて、言い合ってるんで、
私も車のそば(皆からちょっと遠い)から、「アスタ マニアーナ、オルガー。(^―^)ノ」
って言ったら、彼女、クルッとこちらを見て、タタターって走ってきて、私に抱きついて、
頬の左右にチュッチュッって、あちらふうの挨拶をして、「マニアーナ!」と言ってまた走って
カメラマンの待つ車に帰っていきました。私が名前を覚えてて呼んだのが嬉しかったみたいです。
こっちは慣れてないから、もうドギマギです。
クライアント(日産のデザイナー)達からも、
「あーら、大津さんばっか、いいんだぁ。」
「これで、すっかりスペイン(の女の子)びいきになっちゃいましたね。」
「大丈夫、奥さんには黙ってますからぁ…。」
なんてからかわれて、大丈夫って何がだよ… と心で思いながら悪い気はしない、
そして顔が熱くなってるのが自分でもわかってちょっと恥ずかしかったです。
慣れてないんだもの、こういうの。
いいなぁ、こっちの人…、いっつもこんな挨拶してんのか…。
しばらくの間、顔がしまらない私でした。(いつもはしまってる…わけでもない)


No.4 に続きます。





あの子はあの後もアシスタンスを続けられたのかな…、もしかして立派なカメラマンになってたりして…。



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